JRバスが誇る3列独立シートの豪華バス「グランドリーム」車両を使用した「北陸道グラン昼特急大阪号」に乗ってみました。今回の乗車区間は大阪駅から金沢駅まで、実際乗車した時の様子を詳しくお伝えします。
基本情報
「グランドリーム」車両とは
「グランドリーム」車両とは、JR高速バス車両の中では中堅クラスの車両。シート幅46.5cmの「3列新型クレイドルシート」を装備する。
138度のリクライニングシートに、プライベートカーテン、モバイル用電源等を装備した、夜行バスでの使用を想定した設備になっている。もちろんトイレも設置されている。
大阪-金沢間の高速バス
大阪-金沢間の高速バスは、2019年7月現在、西日本ジェイアールバスが1日6往復(+週末を中心に3往復)、阪急バスと北鉄金沢バスの共同運行が1日2往復、日本海観光バスが1日1往復の各便がある。
西日本ジェイアールバスが運行する一部の便は、富山駅もしくは和倉温泉(土休日のみ)まで延長運転される。
運賃は、事業者、使用車両、曜日、予約方法等により大きく異なるが、概ね5,000~6,000円程度。所要時間は概ね5時間~5時間30分程度かかる。
同区間はJR北陸本線の特急列車「サンダーバード」号が1日25往復、所要2時間40分前後で結んでおり、所要時間に大きな差があることから、同区間の高速バスは鉄道の補完としての性格が強い。低廉な運賃、豪華な設備、夜行サービスなどで列車との差別化を図っている。
乗車体験記
乗車データ
項目 | データ |
---|---|
事業者 | 西日本ジェイアールバス |
路線 | 北陸道グラン昼特急大阪号 |
乗車駅 | 大阪駅JR高速バスターミナル |
降車駅 | 金沢駅(兼六園口) |
出発時刻 | 予定8:00 実際8:00 |
到着時刻 | 予定13:43 実際13:36 |
所要時間 | 5時間36分 |
運賃 | 5,290円(ネット割) |
JR高速バスターミナルの様子
3連休最終日の朝、大阪駅は比較的閑散としていた。目指すはJR高速バスターミナル。
改札から中央北口方面に向かうと、すぐ目の前にバス乗り場が見える。ここはJRバスの他に、共同運行する他事業者のバスも発着する。
乗り場は1~8番まであり、各乗り場には手動式の”ホームドア”が設置されている。
今回乗る西日本ジェイアールバスの「北陸道グラン昼特急大阪3号」金沢行は8:00発車、乗り場は1番。左手の一番奥に向かう。
バスはすでに停車していた。金色の「Gran Dream」の文字が白地の車体に映え、豪華さを演出している。おなじみの”ツバメマーク”もある。
座席
形式番号は641-4935、2014年製のいすゞ・ガーラだ。今日は休日なので、当便は金沢から先、和倉温泉まで延長運転される。
乗車券はウェブ予約のチケットレス。シートマップで座席の位置を選ぶことができる。今回は左側最前列の”1A”を予約した。
早速乗車する。改札は、モバイル端末等に表示されたQRコードを運転士が携帯端末で読み取る方法。
シートは前述した通り、「新型クレイドルシート」と呼ばれる独立3列シート。横列はややずらして配置されており、お互い干渉しないように配慮されている。
シートの可動レバーは3箇所ある。シートの取扱い説明が表示されている。
電源コンセントはシート脇に1箇所ある。テーブルはないが、正面には小物入れネットと荷物フック、シートサイドにはドリンクホルダーがある。
天井には読書灯と冷房吹き出し口がある。風量は調節可能。
通路側にはプライベートカーテンが設置されており、プライバシーが確保される。また、無料のWi-Fiも利用可能。
発車
8:00、定刻に発車。大阪発車時の乗車率は6割程度か。バスは駅南口前を通り、新御堂筋に入る。
8:22、最初の停留所、北大阪急行桃山台駅前にある「千里ニュータウン」停留所に到着。乗車客はゼロ。
千里ICから大阪中央環状線を通り、吹田ICで名神高速道路に入る(8:32)。
吹田ICから20分ほどで京都南ICに着く。京都駅に寄るため一旦高速を降りる。
9:13、京都駅に到着。乗り場は駅舎目の前の”JR2”乗り場。ここで10名程度乗車。
9:20、京都駅を定刻に発車。再び京都南ICまで戻る。
9:36、最後の乗車停留所である「京都深草」停留所に定刻到着。ここからいよいよ北陸へと向かう。途中、多賀SAと南条SAの2箇所で休憩すると案内放送があった。
10:24、最初の休憩地点、多賀SAに到着。発車時刻は10:40と案内される。ここで名物の「糸切餅」を購入。遅い時間だと売り切れてしまうことも多い人気商品だ。
到着時の案内放送では、人数確認はしないと言っていたが、運転士は念のため車内を回り乗車確認をする。
10:43、多賀SA発車。米原JCTから北陸道へと入っていく。
11:43、2回目の休憩地、南条SAに到着。12:00発車の案内。
運転士が乗車確認し、12:03発車。しばらくして最初の降車停留所「福井北インター」の案内があるが、降車客はいないので通過する(12:26)。
次の停留所「尼御前」も通過(12:50)。定刻より7分ほど早い。ここからしばらく日本海沿いを進む。
「北陸小松」停留所通過(12:59)。次の「松任海浜公園」は降車客がいるため停車。ここは徳光PAに併設されている。
13:12発車。定刻より10分早い。終点まで降車オンリーなので早発は問題ない。
金沢西ICで高速を降り、金沢市内へと入っていく。
13:36、金沢駅兼六園口(東口)に到着。定刻より7分早い。ここで大半の乗客が下車した。
感想
今回初めて「グランドリーム」車両に乗ってみたが、予想通り快適な乗り心地であった。
ただ、今回の席は最前列であったせいもあるが、レグレストを上げると足元がやや窮屈であったのが気になる。欲を言えばもう少しスペースが欲しい所。
ダイヤ面では、所要時間が特急列車の倍近くかかる点が大きなウィークポイント。特に、当便のように京都駅を経由する便はその分どうしても時間がかかってしまう。
実際、大阪駅を8:44(土休日は8:45)に発車する新快速に乗車すれば、京都駅発車時刻9:20にギリギリ間に合ってしまう。
朝の30~40分という時間は貴重なので、時間に余裕が無い人は、あえて京都駅から乗車するのもありだろう。当然その場合は遅延で乗り継ぎできなくなるリスクが付きまとうが・・・。
他に気になる点として、これは日本全国の高速バスに言えることだが、同じ都市間を結ぶ複数の事業者間で連携が全く取れていないこと。大阪-金沢間も3者が競合しているが、それぞれ乗り場も予約方法も経由地も全く異なる世界を構築している。
交通は普遍性が命。”競争”の前提として”共通”という土台が無いと、公共交通システム全体の最適化を図ることはできない。これはバス同士だけでなく、鉄道とのモード間連携も含まれる。
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