【2019年3月】鉄道乗車記:タイ国鉄ナムトク線の旅(その2)

その1に引き続き、ナムトク線の汽車旅の様子をお伝えします。

(その1から続き)

【2019年3月】鉄道乗車記:タイ国鉄ナムトク線の旅(その1)

乗車データ

項目 往路データ 復路データ
事業者 タイ国有鉄道(SRT) タイ国有鉄道(SRT)
路線 南本線(ナムトク支線) 南本線(ナムトク支線)
列車番号 257 258
乗車駅 トンブリー ナムトク
降車駅 ナムトク クウェー川鉄橋
出発時刻 予定7:50 実際7:50 予定12:55 実際12:55
到着時刻 予定12:35 実際12:35 予定14:40 実際14:42
所要時間 4時間45分 1時間47分
乗車クラス 3等 3等

旅の記録

トンブリーからナムトク行257列車に乗車(続き)

ノーンプラードゥックを3分遅れでに発車し、南下する南本線と別れて列車はナムトク線へと入っていく。

ノーンプラードゥック駅を発車
ナムトク線へと入っていく
車内の様子
懐かしい開放デッキ

このナムトク線、「アルヒル桟道橋」のように一般に知られている有名撮影地の写真から、急峻な地形を縫って走るイメージがあるが、途中のカンチャナブリーまでは平原をひた走る。

途中のThung Thong駅は、コンテナ貨物取扱駅。40フィートのISOコンテナを搭載した貨車が停車していた。

Thung Thong駅のコンテナ荷役設備
もうすぐカンチャナブリー到着

閉塞方式(一定の区間に一つの列車しか入線を許さない仕組み)はトークン式と思われる。駅のホームには輪状のトークンキャリアを持った職員が見られた。

また、線内の駅には信号機が無く、分岐器は転轍手が現地で切り換えを行っているため、連動装置(信号機、ポイント、閉塞装置を論理的に縛り、事故につながる信号の現示及びポイントの動作を防ぐ装置)も導入されていない。駅構内の安全は人間の注意力に頼っている形だ。

一方線路設備は、PCマクラギにパンドロール締結と、それなりに近代化設備投資がされている。途中駅の保線基地では、マルチプルタイタンパ(線路の歪みを直す機械)が稼動していた。

カンチャナブリー駅構内の転轍手

10:27、2分遅れでカンチャナブリーに到着。線路を渡って大勢の小学生が乗車してくる。実は乗車していた車両は団体専用の車両だった。車両入口の張り紙や今までの車掌の行動がここでようやく理解できた。

後ろの車両に移動するが、ここから乗車する観光客も多いので満席状態。仕方なく立つことにした。

隣の線には「EASTERN ORIENTAL EXPRESS」が停車していた。バンコク、シンガポール間を走る豪華列車だ。クウェー川観光のためにこの線に立ち寄る。

ここで前方に4両増結し、客車10両の長大編成となる。この増結車両には乗ることができなかったので、カンチャナブリーからのツーリスト専用車両と思われる。

EASTERN ORIENTAL EXPRESS

10分間停車ののち、10:37、2分遅れでカンチャナブリーを発車。10分ほどでクウェーヤイ川河畔にある、Saphan Kwae Yai駅に到着した。

Saphan Kwae Yai駅

ここで大勢の観光客が下車した。もちろん目当ては「クウェー川鉄橋」である。

この駅を出るとすぐに鉄橋を渡る。鉄橋は自由に立ち入ることが可能で、観光客でいっぱい。列車は最徐行で通過する。退避場所にも鈴なりの観光客が。もし日本でこんなことをすれば警察沙汰だ。

クウェーヤイ川を渡る

若干空いたので、車掌が空席を案内してくれた。先ほど乗った車両より古く、左右に3人掛けと2人掛けの座席が並ぶ。化粧版が木製で、昔子供の頃に乗った旧型客車を思い出す。

古い客車

クウェーヤイ川を渡り、素掘りの切通区間を通過すると、右手に小高い山を望みながら、しばらく畑の中を疾走する。

この辺りが、乗客にとってのある意味”難関”。列車は砂を巻き上げて走り、車内が砂だらけになってしまう。みんなハンカチやタオルを口に巻いて砂対策。乾季に乗車する場合はマスク必携だ。

砂を浴びる

列車はやがてタムクラセー橋駅に到着する。有名な木造橋「アルヒル桟道橋」の最寄駅だ。橋の前後に片側1面の乗降場がある。

列車は最徐行で橋を通過する。ここも有名な観光スポットとなっており、大勢の観光客が下車した。

クウェーノイ川が侵食した崖に無理やり線路を通した形のこの橋。普通、橋といえば水面上を対岸に渡る目的で造られるが、これはいわゆる”渡らずの橋”。飯田線にも似たような例がある。

橋は造るのも維持するのも金と時間がかかり、できれば避けたい設備であるが、このような地形では止む無しであろう。建設当時の苦労がしのばれる。

アルヒル桟道橋を通過

ここまでくれば、終点のナムトクまではもうすぐ。線路はカーブが多くなり、列車は右へ左へ蛇行しながら進んでいく。

タムクラセーを出発
Wang Pho駅
山が近づいてくる
ナムトク駅手前

定刻12:35、終着駅ナムトクに到着した。定時発車・定時到着は、今まで何度も乗ったタイ国鉄の列車では初めて。

ナムトク到着

旧泰緬鉄道は、この先スリー・パゴダ・パスを越えてビルマ(ミャンマー)国内まで延びていたが、戦後タイ政府により鉄路として復旧されたのはここまで。

ここは滝で有名なサイヨーク国立公園の玄関口。「ナムトク」という駅名そのものも”滝”という意味。当駅から1.4km先には「サイヨーク・ノイ滝」がある。休日運転の観光列車は、この滝の近くにある乗降場「Nam Tok Sai Yok Noi」まで入線する。

美しいホーム
側線のある構内
上り方

ナムトクからクウェー川鉄橋まで258列車に乗車

今回は時間がなく、やむなく折り返し列車でカンチャナブリーに戻ることにする。

窓口で乗車券を購入。カンチャナブリーまで100 THB。トンブリーまでと同じ運賃である。

駅舎内には売店がある。こじんまりとした素敵な駅だ。タイの駅はどこも植物がきれいに植えられ、乗客を和ませてくれる。駅の職員が手塩にかけて育てているのだろう。かつての日本のローカル線もこんな感じの駅が多かった。

折り返しの上りトンブリー行258列車は12:55発車。20分間の折り返し時間だ。この間、機関車の付け替え作業、いわゆる”機回し”が行われる。

定刻に発車。往路の列車に比べ空いている。やはり観光客が主体。

ナムトク発車
クウェー川沿いを走る
切り通し
タムクラセー駅
アルヒル桟道橋は制限速度10km/h

タムクラセー駅で再び大勢の観光客が乗車。ボックスがほぼ埋まってしまう。

アルヒル桟道橋を通過
美しいクウェーノイ川
「チョンカイの切り通し」

クウェーヤイ川を渡ると、Saphan Kwae Yai駅に到着。2分程度の遅れ。ここで下車する。

再びクウェーヤイ川を渡る
下車

クウェー川鉄橋周辺の様子

Saphan Kwae Yai駅に隣接する公園には、蒸気機関車が静態保存されている。1両が日本から供出された719号機(日本国鉄C56型23号機)、もう1両がイギリス製の804号機。

タイでもこのように保存されている蒸気機関車は数多い。蒸気機関車に対する敬意は世界共通なのだろうか。

719号機(C56 23)
719号機のキャブ
804号機

駅のすぐ隣には「クウェー川鉄橋」が架かっている。オリジナルは円型のトラスだが、橋の中央部分は爆撃により破壊され、戦後に修復されたため、トラスの形状が異なっている。

ここは完全に観光地化されており、駅周辺には土産物屋やレストランが建ち並んでいる。今日は平日とあって観光客の姿は少ないが、ハイシーズンの休日は非常に混雑するとのことだ。

橋の途中には、120.4kmのキロ程標がある。これは南本線の起点であるトンブリー駅(旧駅)からの距離である。

鉄橋入口
オリジナルの曲弦トラス部分
修復部分の平行弦トラス部分
修復部分の銘版(横河橋梁製)
トンブリー起点120.4kmのキロ程標
周辺は公園になっている

橋を眺めるレストランで軽く食事をする。バンコクへはバスで帰ることにした。ここからバスターミナルまではかなり距離があるので、バイクタクシー(モトサイ)を利用。所要時間は5分程度で運賃は40 THB。

感想

3等客車の旅を楽しんだ。このような昔ながらの汽車旅は、もう日本ではほとんど味わうことはできない。タイの鉄道はどことなく日本の鉄道に相通ずる部分がある。かつて日本で鈍行列車の旅を楽しんだ方には、ぜひおすすめしたい。

バンコクから日帰りが可能だが、往復とも列車を利用すると所要時間は約10時間となる。これではやや味気なく体力的にもつらいので、今回の行程のように帰路はバスを使うという手もある。
項を改めてご紹介するが、カンチャナブリーからバンコクまではバスが頻発しており、エアコンも効いているので快適便利である。

できればカンチャナブリーなどで1泊すると、旅の幅がグンと広がる。エラワン国立公園など見どころも多いので、ゆっくり旅行するのにも適した地域だ。

関連リンク

タイ国鉄 State Railway of Thailand

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