【2019年1月】鉄道乗車記:広州から香港へ在来線の旅

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香港から広州への往路は、できたばかりの広深港高速鉄道を利用しましたが、帰りは昔ながらの在来線を利用してみることにしました。広州東駅から羅湖経由で香港に向かったときの様子をお伝えします。

乗車した列車

路線 区間 等級/運賃 所要 事業者
広九線 広州東→深圳 一等/99.5 RMB 1時間17分 中国国鉄(広深鉄路)
MTR東鉄線 羅湖→紅磡 39.2 HKD 45分 香港鉄路

はじめに

この在来線の歴史は古く、開業は1911年。かつては「九広鉄路」と呼ばれていた。現在は中国本土区間の広州-深圳間が「広九線」、香港区間の羅湖-紅磡間が「MTR東鉄線」と名づけられている。なお、広九線は通称「広深鉄路」とも言われ、広い意味での中国国鉄線の一部であるが、実際の運営は国鉄の子会社「広深鉄路公司」が行っている。

この両線には直通列車も走っているが、今回は本土と香港の出入境検査場「羅湖口岸」を徒歩で通過する。まずは広九線の列車で深圳駅まで行かなければならない。

旅行記

広州東駅の様子

地下鉄で広州東駅に着いたのは15時過ぎ。予約した深圳行の列車は16:32発車なので時間はまだ十分にある。とりあえず駅構内を散策してみることにする。

ここ広州東駅は、広州市内にある3つの鉄道ターミナル(広州、広州東、広州南)のうち、主に深圳方面行の広九線の列車が発着する駅である。

入口

また、広九線以外の、全国各地へ向かう一部の長距離列車も発着する。高速鉄道が発達した中国の鉄道だが、昔ながらの客車列車も依然として多く走っている。

さて、駅は近代的に改装されているが、構造が複雑なのでいまいち駅構内の全体像がつかめない。やみくもに歩き回っても疲れるだけなので、とりあえず予約サイト「Trip.com」で予約した列車の発券(取票)を行う。

きっぷ売り場は階段を昇った2階にある。窓口は多少並んでいたが、5分程度待って順番がきた。並んだのは取票専用窓口であったが、前にいた中国人の客は新規購入を希望したらしく、窓口職員氏から、ここじゃないと怒られて、追い返されていた。日本ならクレームになりそうな接客。。。

無事予約した列車の乗車券を手に入れた。少し奮発して一等車にした。1号車1番C席。残念ながら窓側の席ではない。

壁には残席の電光掲示板があった。これから春節多客期輸送、いわゆる”春運”が始まるので、地方に向かう長距離列車は満席が多い様子。皆それぞれの出身地に帰省するのであろう。

残席掲示板

保安検査を通過し出発コンコースへ。小腹が空いてきたので軽く食事をする。「汤上工夫」という中華料理のファストフード店があったので、ここでナス炒め定食を頂く。値段は31元(日本円で約510円)。

ナス炒め定食
出発コンコース

発車30分前になったところで、所定の待合室に向かう。広九線は「第1候車室」だ。入口には自動改札機がある。運転本数は5~6本/時と、かなりの高頻度であり、およそ10分~20分おきに発車する感じだ。

第1候車室入口

第1候車室はそれほど広くない。椅子も少ないので立っている人も多い。オレンジをその場で絞ってジュースにしてくれる珍しい自動販売機があった。

第1候車室内

広州東から深圳まで広九線に乗車

これから乗るC7059次列車、発車10分前の16:22から乗車開始。乗り場は”4站台”。今回乗る車両は「和諧号 CRH1A」型で、スウェーデンの高速車両を原形とした、中国における最初期の高速列車用電車である。

乗車開始
4站台
C7059次(CRH1A型)
隣の線路にいたCRH6A型電車

座席は2-2列の集団見合い式。いかにも欧州の車両らしい。一等車であったが、座席はさほど豪華ではなく、座り心地は往路に乗車した最新型CRH6Aの二等車の方が良い。

一等車の車内

16:30発車。2分ほど”早発”だ。この広九線は複々線で、旅客列車と貨物列車の線路が分離されている(客貨分離)。在来線とはいえ最高速度200km/hで走行する準高速鉄道である。

列車は快調に速度を上げ進む。途中、東莞、常平、樟木頭の3駅に停車していく。広州東駅発車時はほぼ満席であったが、停車駅ごとに乗客が減っていった。

途中通過する駅の多くは貨物駅。中国の国鉄は、いわゆる普通列車はほとんど姿を消しているので、駅の数としては貨物駅の方が多い。この広九線は起点の広州駅を含めて全部で19駅あるが、内旅客営業駅は8駅のみ、残りは貨物駅か一時停車のみの(日本で言う”信号場”的な)駅である。

緑と赤の旗を持った駅の運転職員(助理值班员)がホームで列車監視をする姿も見られた。昔ながらの鉄道情景である。

車窓

深圳駅手前で列車は一旦停止した。入駅の可否を示す進站信号機(日本の場内信号機に相当)が停止現示であったのだろう。それでもほぼ定刻の17:47に到着した。

深圳駅に到着

深圳駅は巨大な駅ビルである。中国有数の経済都市に成長したここ深圳、街の勢いが人の多さに繋がっている。駅構内には”春運”対策のため、列車ごとの臨時待機スペースがあちこちにできていた。国鉄当局にとっても年に一度の大繁忙期、対応にあたる職員の苦労が窺える。

深圳駅舎

この深圳駅は、羅湖口岸の目と鼻の先にある。駅構内からは香港との境界にある鉄橋が望め、その先にはMTR羅湖駅がある。線路は繋がっており、直通列車はここを通過して香港に向かう。なお、「羅湖」(簡体字で”罗湖”)という駅名は、深圳地下鉄1号線にもあるので注意が必要。

深圳駅からMTR羅湖駅を望む

羅湖から紅磡までMTR東鉄線に乗車

「香港」という表示に従い足を進める。平日夕方という時間帯からか、イミグレーションはさほど混雑していない。深圳駅からMTR羅湖駅まで所要時間約30分程度であった。

イミグレーション
MTR羅湖駅改札口

ここからは当然オクトパスカードが使える。残高が少なかったので現金でチャージをした。チャージは機械で簡単にできる。

香港側のMTR東鉄線は、普通のいわゆる通勤電車である。もともとは香港の”国鉄”にあたる「九広鉄路公司」の路線であるが、現在はMTR香港鉄路が運営しており、地下鉄や機場快線と一体となった鉄道網を形成し、香港市民の重要な足となっている。なお、中国本土からの直通列車も同じ線路を走る。

車両はアジアでは珍しいイギリス製の電車だ。12両編成。座席はステンレス地のロングシートだが、1両だけクロスシートの頭等車(ファーストクラス)が連結されている。

列車は各駅に停まり、帰宅する通勤通学客を乗せ九龍半島をひた走る。19:24、終着紅磡駅に着いた。羅湖駅から紅磡駅までの所要時間は約45分、広州東駅から紅磡駅までのトータルの所要時間は、約3時間程度であった。

紅磡駅に到着

感想

今回、香港と広州の間を、高速鉄道と在来線の新旧鉄道ルートで往復してみたが、市内移動を含めた所要時間は大差なかった一方、コストについては在来線経由の方が圧倒的に安かった。なお、今回利用していないが、在来線経由の九広直通列車が1日12本運転され、紅磡駅・広州東駅間を約2時間(出入境手続きで+30分程度)で結んでいる。コストの比較表は次の通り。

表 香港・広州間の鉄道運賃比較(片道大人普通運賃 単位:日本円)

利用経路 区間 二等 一等 備考
高速鉄道 香港西九龍-広州南 3,548 5,330  
在来線(直通) 紅磡-広州東 2,940  
在来線(羅湖乗換) 紅磡-広州東 1,861 2,740 東鉄線はオクトパスカード運賃

*対日本円為替レートは、1HKD=14円、1RMB=16.5円で計算(円未満四捨五入)

現状では、香港・広州間の移動だけならコストが安く市内アクセスも良い在来線経由の方がおすすめできる。しかし、広州以外の本土の他都市に向かう場合は、高速鉄道が便利である。また、日時によっては羅湖口岸のイミグレーションが混雑するとのことなので、状況により使い分けることも可能だ。

移動需要の大きい都市間で複数の鉄道経路があることは、災害等のリスクに備える意味でもその意義は大きい。今後はお互い”良きライバル”として、地域の発展のために走り続けることであろう。

関連リンク

中国国鉄12306

中国鉄道予約 Trip.com

香港鉄路(MTR)

鉄道コム

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