【2019年3月】鉄道乗車記:タイ国鉄ナムトク線の旅(その1)

タイ国鉄の鈍行列車に乗りました。太平洋戦争中、旧日本軍が建設した旧「泰緬鉄道」の一部残存区間である、ナムトク線の汽車旅の様子をお伝えします。

乗車データ

項目 データ
事業者 タイ国有鉄道(SRT)
路線 南本線(ナムトク支線)
列車番号 257
乗車駅 トンブリー
降車駅 ナムトク
出発時刻 予定7:50 実際7:50
到着時刻 予定12:35 実際12:35
所要時間 4時間45分
乗車クラス 3等

基本情報

概要

ナムトク線は、タイの首都バンコクとカンチャナブリー県を結ぶ、タイ国有鉄道(การรถไฟแห่งประเทศไทย/State Railway of Thailand)の鉄道路線。

かつて旧日本軍によりビルマ方面への軍需物資輸送のため、タイとビルマを結ぶ「泰緬鉄道」として建設された。

現在はカンチャナブリー県のナムトク駅まで運行されている(休日観光列車のみナムトクサイヨークノイ駅まで運行)。

映画「戦場にかける橋」の舞台として有名な「クウェー川鉄橋」や、自然豊かな「エラワン国立公園」など、沿線は観光資源が豊富で、海外からの観光客にも人気がある路線だ。

起点はバンコク中心部からチャオプラヤー川を挟んで対岸にある、トンブリー駅。

”ナムトク線”の名は通称で、正式な線路名称は「南本線(ทางรถไฟสายใต้)」。南部スンガイコーロックに向かう区間がメインラインで、途中ノーンプラードゥックで分岐してナムトクに向かう区間は枝線の扱いになる。

ナムトク線路線図

アクセス

トンブリー駅へのアクセス方法は、チャオプラヤー川を走る高速ボート「チャオプラヤー・エクスプレス」が便利だ。

桟橋から駅までは1km、徒歩で12分ほどかかる。なお、路線バスは駅の近くに停留所が無いため、アクセスには使いにくい。

トンブリー駅舎
トンブリー駅ホーム

列車本数

トンブリーからナムトクに直通する定期列車は1日2往復で、いずれも普通列車である。

他に分岐点のノーンプラードゥック駅で折り返す線内区間列車も1往復設定されている。

また、休日にはフアランポーン駅から観光列車が1往復運転される。

所要時間・運賃

トンブリー、ナムトク間の距離は194km、所要時間は4時間35分~45分。

等級は3等のみで運賃は100 THB(外国人料金)。途中のカンチャナブリーなどで下車しても同じ金額である。

終点ナムトク駅

車両

定期列車の車両は一般型の客車で、ディーゼル機関車が牽引する。全車両冷房はない。

座席はボックスシートと横長のロングシートの2タイプがある。自由席だが、一部の車両が団体専用車両となる場合があるので注意が必要。

ボックスシート車両

車窓

車窓のハイライトは、映画「戦場にかける橋」の舞台である「クウェー川鉄橋」(Saphan Kwae Yai駅~Khao Pun駅)と、木造の鉄道橋「アルヒル桟道橋」(Lumsum駅~Saphan Tam Krasae駅)だ。

クウェー川鉄橋
アルヒル桟道橋

旅の記録

カオサンからトンブリー駅へ移動

朝7:00、カオサンを出発する。チャオプラヤー川の高速ボート、「チャオプラヤー・エクスプレス」の桟橋までは徒歩10分ほどの距離だ。

プラ・アーティット通りの桟橋入口から商店が並ぶ細い路地を抜けると河畔に出るが、この路地の入口がわかりにくく、まるで普通の土産物店の中に入っていくような感じ。

左隣にあるホテル入口の方がはるかにそれっぽい雰囲気なので、初めての場合少し戸惑ってしまう。

プラ・アーティット通りの桟橋入口

地図上では路地の真正面に桟橋があるはずなのだが、河畔の歩道を下流に100mほど行った所にあった。

本来の位置とみられる場所は工事中のようで、一時的な仮設なのだろうか。ここは「プラ・アーティット」桟橋と名付けられている。

桟橋番号はN13。”桟橋名標”が掲出され、ちゃんと公共交通機関としての体をなしている。

「プラ・アーティット」桟橋

しばらくするとボートがやってきた。オレンジ色旗を掲げるの急行便だ。ここから2つ下流の桟橋N11「トンブリー駅」まで乗船する。

ボートからの景色

平日朝なので通勤通学の利用客が多い。乗船するとすぐに車掌がやってくるので運賃を支払う。急行便は15 THB均一だ。

「トンブリー駅」桟橋に到着
桟橋のゲート

2区間、5分ほどの乗船でトンブリーに到着。桟橋からトンブリー駅までは1kmほど歩かなくてはならない。

かつては、川の近くに駅があったが、再開発のため2003年に現在の位置に移転したとのこと。このためボートとの乗り継ぎが不便になってしまったのは残念だ。

駅までの道沿いには市場があり、とても活気がある。食堂で朝食をとっている人の姿も。幹線道路の高架をくぐると駅はもうすぐだ。

駅前の市場

しばらくするとトンブリー駅の駅舎が現れる。思ったより小振りな建物だ。

ここを起点とするタイ国鉄「南本線」は、マレー半島を南下しマレーシアを経てシンガポールへと延びる国際重要幹線の一部。

ただし、現在は全ての長距離優等列車はチャオプラヤー川を渡る連絡線(南本線枝線)を通ってバンコク最大の駅、フアランポーン駅まで乗り入れているため、ここは普通列車が発着するだけ。街中のローカル駅といった風情だ。

トンブリー駅の様子

窓口で乗車券を買い構内に入る。時計は7:35。発車時刻の7:50まで少し時間があるので駅構内を散策する。

既に停車している257列車は6両編成で、ほとんどの車両がボックスシートだが、前から4両目のみロングシート。最後尾の車両は業務用。

先頭にはAHK型ディーゼル機関車が連結されている。前方3両の出入り口脇には張り紙が貼られているが、タイ語なのでどんな意味かは不明であった。

AHK型ディーゼル機関車4220号機
3等客車
行先表示板
発車時刻表

構内は側線を含め5線ほどあるが、ホームに面している線路は1線のみ。普通列車が1日10本しか発車しないので、必要十分な設備なのだろう。

下り方には出発信号機があるが、現在も使用されているかどうかはわからない。

下り方

駅名標には「BANGKOK NOI」の駅名が。旧トンブリー駅が廃止される前の当駅の名称だ。川側の「THONBURI 0.866km」の標記が物悲しい。

駅名標

トンブリーからナムトク行257列車に乗車

7:50、発車を告げる鐘の音が3度響く。当務駅長の緑色旗による出発合図で定刻に発車、と思いきや駆け込み乗車の旅客が。。一旦停車させ乗車を確認してから再度緑色旗を振る。どこの国も鉄道職員の苦労は同じ。

発車

乗車率はボックス当たり1~2名程度で空いているボックスもある。平日なので空いているが、半分以上が観光客の様子。欧米系の外国人も多い。やはりタイ国鉄を代表するの観光路線らしい客層だ。

早速車掌が検札にやってきた。乗車券を確認し鋏を入れていく。柔和で人のよさそうな車掌氏だ。

車掌による検札

途中のタリンチャン駅までは非常にゆっくりとした速度で進む。軌道状態が悪いので、揺れが大きい。

やがて右手後方から複線の線路が合流すると、タリンチャン駅に到着。

この複線線路はフアランポーン駅方面からの南本線枝線で、現在はこちらが本線格。

併設して複線電化のバンコク都市鉄道レッドラインの建設工事が進められている。

タリンチャン駅付近

タリンチャン駅を発車すると、複線の本線上を速度を上げて快走する。

最高速度は体感で80km/h程度か。ほぼロングレール化されており、全般的に乗り心地は悪くないが所々で縦揺れがある。

信号機は色灯式で、ウィキペディアによると信号保安設備は自動閉塞方式(集中制御)とのこと。

気温がかなり上がってきた。冷房が無いので窓を全開にしているが、熱風が車内に吹き込んでくる。今の日本では味わうことのできない、汽車旅の醍醐味。

普通列車なので、小さな駅も細目に停車していく。一部の乗降場を除き各駅には駅職員が配置され、駅長が出発合図を行う。これも昔懐かしい情景。

Sala Thammasop駅
Khlong Maha Sawat駅(無人駅)
Tha Chalaep駅

列車はナコーンパトム駅に着く。ここまでほぼ定時運転。タイ国鉄は遅延で有名?なはずだが、今の所は遅れる原因がないので当たり前か。

ナコーンパトム駅

ここで大勢の乗客が乗り、ボックスはほぼ埋まった。

ナコーンパトムで乗車した乗客に対し、検札に来た車掌氏が、後ろの車両へ行けと指示をする。短距離客用の車両があるということだろうか。トンブリーで見た張り紙とともに、この意味は後で知ることになる。

ナコーンパトムからは単線区間に入る。ウィキペディアによると、信号保安設備はここから連査閉塞とのこと。日本では閑散なローカル線でしか使われない簡易的な閉塞方式だ。

車内では車内販売員が頻繁に来る。冷たい飲料や軽食類の他に、豆類や穀類などの生活物資も売られる。

車内販売
ナムトクからの上り列車と行き違い

列車は分岐点のノーンプラードゥック駅に定刻で到着した。ここからマレー半島を南下する南本線と別れ、ナムトク線へと入っていく。

(その2に続く)

【2019年3月】鉄道乗車記:タイ国鉄ナムトク線の旅(その2)

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