天津駅から北京南駅まで高速列車に乗車しました。天津駅と車内の様子、北京南駅から地下鉄に乗り換えた様子をお伝えします。
乗車データ
項目 | データ |
---|---|
事業者 | 中国鉄路総公司(CR) |
路線 | 京津城際線 |
列車番号 | C2008 |
乗車駅 | 天津 |
降車駅 | 北京南 |
出発時刻 | 予定7:48 実際7:47 |
到着時刻 | 予定8:18 実際8:17 |
所要時間 | 30分 |
乗車クラス | 2等 |
基本情報
概要
天津と北京の間には、高速鉄道2路線、在来線(普速鉄道)1路線の計3路線の鉄道がある。このうち最も便利なのが、天津中心部にある「天津駅」と「北京南駅」を結ぶ高速鉄道「京津城際鉄路」である。
アクセス
天津駅には地下鉄3路線(2号線、3号線、9号線)が乗り入れる。天津浜海国際空港との間は2号線が結び、約25分で移動できる。
北京南駅には地下鉄2路線(4号線、14号線)が乗り入れる。
運行頻度
2019年5月現在、京津城際鉄路を走る”城際動車組列車”(列車番号に”C”が付く列車)は、天津発は6:05から22:39までの間、北京南発は6:02から22:31までの間に概ね5~20分間隔で運転。一部列車は天津西駅発着。
他に、瀋陽方面からの直通高速列車もある。
所要時間・運賃
ノンストップ列車は30分。途中「武清駅」に停車する列車は37分。
座席別の運賃は下表の通り(日本円は1元=16円で計算)
表 天津・北京南間の城際動車組列車運賃表(片道大人普通運賃)
クラス | 運賃(中国元) | 運賃(日本円) |
---|---|---|
二等座 | 54.5元 | 872円 |
一等座 | 88元 | 1,408円 |
商務座(ビジネスクラス) | 174元 | 2,784円 |
車両
瀋陽方面からの直通列車を除き、現在は”復興号CR400BF型”のみ使用。
旅の記録
天津駅の様子
天津浜海国際空港から6:00発の地下鉄始発列車に乗り、国鉄乗換駅の天津站駅には6:25に到着した。早朝なのでさほど混んではいない。
天津站駅は地下鉄3路線が乗り入れるジャンクション。コンコースは広大で方向感覚が失われる。「火车站方向」の案内標識に従い歩く。
これから乗る北京南までの高速列車は、中国鉄道予約ではおなじみの「Trip.com」で予約済みだ。発券手数料が掛かるが、高速列車は座席の列まで指定できるので非常に重宝する。
まずは”售票处”(切符売場)で予約した切符を手に入れなければならない。售票处は何箇所かあるが、地下鉄コンコースから一番近いのは「北售票处(-1F)」。大きな看板が掲げられているのですぐわかる。なお、近くにある自動券売機は、基本的には外国人は使えない
切符を手に入れるのに時間がかかることを見越して少し遅めの列車を予約しておいたが、写真の通り窓口は閑散としていた。予約番号とパスポートを提示し、わずか1分で発券終了。
発車時刻まであと1時間以上時間をつぶさなければならない。とりあえず駅構内をぶらぶらしてみる。
ここは北口(北站房)の地下一階。裏口側になるので比較的閑散としている。コンビニと飲食店が数件ある。
”长途客运站”という表示があるので行ってみる。これは長距離バスターミナルという意味。正式には「通莎客运站」と言うようだ。全国各地への長距離バスが発着する。
駅前広場は閑散としていた。ほとんど何もないという印象。共産党のスローガンが目を引く。
寝不足気味で表側の南口まで歩いていく元気もないので、待合室に向かう。安全検査を通過し2階に上がる。
待合室(候车室)は線路を跨ぐ橋上にある。かつての中国の駅の待合室といえば、殺風景な部屋にベンチがずらりと並ぶ印象であったが、今やエキナカにスタバがある時代。南口側にはセブン-イレブンやマクドナルド、KFCなどもある。
まだ時間があるので、カフェでコーヒーを飲みながらスマホに充電する。
中国の駅の特徴として、改札口(检票口)はホーム別になっている。乗車するC2008列車は、「京津城際列車」の専用乗り場から発車する。他の列車とは扱いが異なるのか、待合室の一角がパーテーションで区切られており、再度安全検査が行われる。
C2008次に乗車
発車ホームは15番線。1本前の列車が発車後一旦改札口が閉じられる。7:35に改札開始。
15番線にはすでに列車が停車していた。指定された車両は2号車なので後方だ。乗客が続々と乗り込む。
車両は復興号CR400BF型の5074編成。8両編成。まだ新しい車両なので車内も非常にきれいだ。シートカバーにはおなじみ中国国鉄のマークと”CR”のロゴ。
列車は定刻より1分早い7:47発車。京津城際鉄路(正式な線路名称は「京津城際線」)を進む。右に左に大きくカーブしたのち、高架線に入り次第に速度を上げていく。
線路が右に左に交差する。中国らしいダイナミックな線形だ。地平を走る在来線(普速線)の列車を見下ろしながら追い抜く。やがて天津西駅からの高速鉄道連絡線(南倉城際高速連絡線)が合流する。
座席はほぼ満席と思われる。朝の上り列車は北京への通勤客が多いのかもしれない。乗客の様子は日本の新幹線とほとんど同じで、スマホをいじっているか寝ているかのどちらか。マナーも良く大声で叫ぶような人もいない。
走行中揺れはほとんどなく、あまり速度が出ている感じがしないが、車端部にある電光表示では、速度348km/hと表示されている。毎度ながら中国の高速鉄道の乗り心地の良さには感心してしまう。
天津-北京南間120kmを30分で結び、表定速度(走行距離/時間)は240km/hに達する。なるほど確かに速い。
列車はあっという間に北京南駅に到着する。巨大なドーム状の駅舎が線路を覆う特徴的な駅だ。8:17、18番線に定刻より1分早く到着。乗車時間はジャスト30分であった。
出口にも自動改札機があるが、切符は回収されずに出てくる。そのまま持ち帰ることが可能だ。
北京南駅から地下鉄に乗車
北京南駅には地下鉄が2路線(4号線、14号線)乗り入れている。このうち中心部に向かうのが4号線。切符売場でIC乗車券「北京市政交通 一卡通」を購入する。北京市内の移動には必須のツールだ。
平日朝のラッシュアワーなので非常に混雑している。満員電車に揺られてホテル最寄りの駅に向かった。
感想
中国の代表的な二大都市を、わずか30分で結ぶ京津城際鉄路。1日100往復以上の列車本数があり乗車率も高く、おそらく中国の高速鉄道の中でも有数の利用客の多い路線であろう。2018年上半期輸送人員は1日平均8.2万人とのこと。これはほぼ同距離にある東京-宇都宮間、東京-高崎間の一日平均通過旅客数よりやや低い程度。
今回乗車して改めて感じたことは、既に高速鉄道が中国人民の生活に根差しているという点。我々日本人が当たり前に新幹線を利用するのと同じように、中国人民も高速鉄道を当たり前の交通手段として利用している。もう物珍しがるような人はほとんど見られない。
更に発展を続ける中国の高速鉄道。現在も新路線の建設が進められているが、一部では不採算路線と建設債務の問題が取りざたされている。しかし、中国が高速鉄道の建設を進める最大の目的は、新線建設による在来線貨物輸送力の増大にある。経済発展に伴う物流需要の拡大に早急に対応しなければならない。また、温暖化防止・CO2削減の観点からも、トラック・航空機から鉄道へのモーダルシフトが求められる。
単純な採算ではなく、社会的・経済的な便益を含めたトータルな観点からその評価をすべきである。
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