2020年2月1日から運行開始となった、成田空港の新しいエアポートバス「エアポートバス東京・成田」に乗ってみました。東京駅・都心と成田空港の間を片道1,000円で運行する格安バスです。
運行概要、各乗り場での乗り方についてご紹介していきます。また、成田空港から東京駅まで実際に利用したときの様子もお伝えします。
(注意)本記事は2020年2月時点の情報です。コロナ渦により運行状況等は大きく変化しておりますので、ご利用の際は最新の情報をご確認下さい。
基本情報
概要
「エアポートバス東京・成田」は、東京駅(一部便は銀座駅ほか発着)と成田空港(第1・2・3ターミナル)を結ぶ高速乗合バス路線。
以前はライバル同士であった、JRバス関東とB-TRANSSEグループ運行の「THEアクセス成田」と、京成バスグループ運行の「東京シャトル」・「有楽町シャトル」が統合して誕生した路線である。
JRバス関東、B-TRANSSEグループ(平和交通、あすか交通、西岬観光)、京成バス(新習志野高速営業所、千葉営業所、奥戸営業所、長沼営業所)、成田空港交通、京成バスシステム、京成トランジットバスによる共同運行。
運賃・所要時間
運賃は大人片道1,000円、小児(小学生以下)500円、うち未就学児は座席未利用の場合のみ大人1名につき1人分無料。なお、一部深夜早朝便は大人2,000円、小児1,000円の割増運賃となる。
所要時間は時間帯及び利用ターミナルにより異なるが、東京駅から空港まで62~70分、空港から東京駅まで65~100分。
手荷物は一人当たりスーツケース1つ程度に制限される(重量20kgまで、3辺の合計が158cm以内(総外寸))。なお、自転車、スキー、スノボ、ゴルフバッグ等はトランク預け、車内持ち込みとも不可なので注意。
東京都心→成田空港
東京都心から成田空港に向かう便は、予約不要な”自由席便”と予約が必要な”指定席便”がある。成田空港は全便第3→第2→第1の順に停車していく。
自由席便
東京駅発4:30から24:00まで運行。うち、5:10~18:30の間は10分間隔で発車し、それ以外の時間帯は20~60分間隔となる。
一部便は銀座駅、東雲車庫、東雲イオン前、大江戸温泉物語が始発となる。なお、銀座駅、東雲イオン前発の一部便は東京駅を経由しないが、別に東京駅始発便が運行されるので10分間隔は確保されている。
また、夜間には銀座駅・東京駅から成田空港近隣ホテル行きのバスが4便運航される。
乗車時に車内にて運賃を支払う。現金及び交通系ICカードが利用可。なお、全便座席定員制なので、満席となった場合は次便以降に乗車となるので注意。
指定席便
東京駅発6:00から19:00まで運行。うち、6:00~17:40の間は20分間隔で発車し、その後は最終便の19:00発のみ。一部便は鍛冶橋駐車場が始発となる。
乗車には予約が必須。予約及び乗車方法は次の通り。
・事前にインターネットでクレジットカードにより予約・決済。
・発車時間の5分前までに乗り場に到着し、係員に乗車券画面(または印刷したWEB乗車券)を呈示して乗車。
成田空港→東京都心
成田空港から東京都心に向かう便は、すべて便指定の座席定員制となる。全便第3ターミナル始発。
第3ターミナル発6:40から25:30まで運行。うち、7:10~22:50の間は10分間隔で発車し、それ以外の時間帯は30~60分間隔となる。
第3→第2→第1とすべて停車するパターンと、第3→第2のみ、または第3→第1のみ停車するパターンがある。この組み合わせで、各ターミナルとも早朝・深夜を除き最低10分に1本の発車間隔は確保されている。
全便東京駅を経由し、うち一部便は鍛冶橋駐車場、銀座駅、東雲車庫、東雲イオン前、大江戸温泉物語まで延長運転となる。
乗車方法は次の通り。
・各ターミナル内にある乗車券売り場で便指定の乗車券を購入(現金、交通系ICカード、クレジットカード利用可)。
・バス乗り場で係員に乗車券を呈示して指定された便に乗車。
なお、乗車券売り場の営業時間外に乗る場合は、バス車内で運賃を支払う(現金、交通系ICカードのみ利用可)。
乗り場案内
東京駅
東京駅の乗り場は八重洲南口のJR高速バスターミナル。自由席便が7番、指定席便が8番から発車する。
自由席便用の7番乗り場は、ベルトパーテーションで並ぶ通路が作られている。入口には青色で”自由席”という表示がある。
8番乗り場の同じくベルトパーテーションで区切られている。こちらは赤色で”指定席”という表示。
なお、自由席便の運賃は車内精算となり、乗り場近くにある高速バスきっぷ売り場では乗車券は発売されない。
成田空港第1ターミナル
乗車券は、1階到着ロビー内に3ヶ所ある乗車券売り場で購入する。”LCB”と書かれた専用カウンターがある。
バス乗り場は31番。南ウイング側の一番外れにあり、やや不便だ。
乗り場付近には、乗車券を事前に購入する旨の注意看板がある。1月までは交通系ICカードでそのまま乗車できたので、間違える人が多数いるのであろう。
成田空港第2ターミナル
乗車券は、1階到着ロビー内に2ヶ所ある乗車券売り場で購入する。第1ターミナルと同様”LCB”と書かれた専用カウンターがある。
バス乗り場は2番と19番。細長いバスホームの両端近くにある。全便が両方の乗り場に停車するので、現在地から近い方に向かった方が良い。
成田空港第3ターミナル
乗車券は、1階到着ロビー内にある乗車券売り場で購入する。ここも他ターミナルと同様”LCB”と書かれた専用カウンターがある。
また、乗り場付近には専用の自動券売機が1台設置されている。こちらは現金のみ利用可能。
バス乗り場は1番または2番。日中時間帯は両乗り場合わせて毎時10本のバスが発車する。
ターミナルビルに最も近い1番乗り場は、第1ターミナルのみ経由する便が発車する。日中毎時4本の発車で発車間隔は変則的。
2番乗り場は第1・第2ターミナル両方を経由する便と第2ターミナルのみ経由する便がある。合わせて10分間隔で発車。
このうち、第1・第2ターミナル両方を経由する便は、総所要時間が他の便より長く、また、比較的混雑しやすいため、できれば避けた方が良いかもしれない。
乗車記
さて、実際に東京駅まで乗ってみることにする。
第1ターミナルの乗車券売り場で乗車券を購入する。購入したのは13:45であるが、指定された便は20分後の14:05発。その1本前に13:55発があるはずだが、すでに満席なのかもしれない。
クレジットカードにて購入。Amexが使えた。乗車券にはキャンセル制限を示す【C制】の表示がある。
定員制なので座席の保証はある。暑さ寒さの中乗り場で待たなければ乗れない、ということは無いので安心だ。ただし、座席位置にこだわる場合は速めに並んだ方が良い。
31番乗り場に向かう。係員2名が立っており、有効な乗車券を持っているか確認される。
発車時刻6分前にバスがやってきた。この便は京成バスシステム(KBS)の担当。第3ターミナルからの乗客が10名程度乗っている。
大きな荷物は床下トランクに入れてもらえる。乗車券は乗車時に運転士が回収、領収証の半券のみもぎって返される。
座席配列は横4列のエコノミータイプ。短時間の乗車なので全く問題ない。
このバスにはシート脇にモバイル用電源コンセントが設けられていた。
シートポケットにはフリーWi-Fiの案内書が入っている。
14:05、バスは定刻に発車。乗車率は窓側は全て埋まり7割程度か。時期や時間帯によっては混雑するであろう。
空港を出るとすぐに新空港自動車道に入る。成田JCTから東関東自動車道、続いて首都高速湾岸線を進む。
ディズニーの夢の国を左に見て、旧江戸川の橋を渡ると東京都。続いて荒川を渡る。右手にはスカイツリーがそびえ立っている。
辰巳JCTから首都高9号線を進み、都心へと入っていく。流れは順調だ。都心環状線の宝町出口で首都高を降りる。
15:05、定刻より5分早く東京駅八重洲口前の降車場に到着した。八重洲口駅舎は外堀通りを挟んだ向かい側にあり、階段を降りて八重洲地下街を通るのが楽だ。
この便は東雲車庫が終点だが、ほとんどの乗客がここで降りてしまった。
感想
新たなスタートを切った「エアポートバス東京・成田」。従来、ライバル同士で旅客案内が2つに分かれていたものが統一され、非常に分かりやすく便利になった。
欠点をあげるとすれば、空港行きと都心行きで乗車方法が全く異なること。また、空港のバス乗り場が、第3ターミナルを除き”辺鄙”な場所にあること。前者は利用者側も次第に慣れてくると思われるが、後者は要改善であろう。
一方、依然として孤高の存在なのが「東京空港交通」バス。通称”リムジンバス”だ。運賃は高いが、多彩な運行系統、柔軟な運行管理、空港の乗り場も”一等地”、そして何より”空いている”というのが売り。
しかし、速達性と快適性に勝る鉄道(N’EX、スカイライナー)と、安くて便利な「エアポートバス東京・成田」の間に挟まれ、今となっては非常に中途半端な存在になりつつあると言える。
更に、成田空港そのものの役割の変化も関わってこよう。羽田国際線発着枠の増加に伴い首都東京のメイン玄関口は羽田に戻りつつある。デルタ航空の成田撤退はその象徴。代わりに成田はLCC空港としての比重が増してくる。
やがては、果たしてリムジンバスのようなサービスが本当に成田に必要なのかどうか、という問いに直面することになるであろう。
乗り場の問題も含め、成田のアクセスバスは近い将来全面的な構造変革が必要になってくると思われる。
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