東京・九段にあるシティホテル、「ホテルグランドパレス」に宿泊しました。落ち着いた内装と風格ある佇まいは、これぞ”日本の高級ホテル”という感じです。
今回はダブルルームを利用しました。館内と客室の様子、また、朝食ブッフェについても詳しくご紹介します。
基本情報
「ホテルグランドパレス」は首都東京の中心部、千代田区飯田橋にあるシティホテル。3路線が乗り入れる地下鉄九段下駅から徒歩4分と、ロケーションは抜群だ。日本武道館も徒歩圏内にあり、イベント等の前後泊にも便利。
名称 | ホテルグランドパレス |
Hotel Grand Palace | |
所在地 | 東京都千代田区飯田橋1-1-1 |
電話番号 | 03-3264-1111 |
客室数は458室。チェックイン時刻は14:00、チェックアウト時刻は11:00。
表1 客室一覧
名称 | 面積 | ベッドサイズ 数 |
---|---|---|
シングル | 17.0㎡ | 110×195cm 1台 |
スタンダードシングル | 19.7㎡ | 120×210cm 1台 |
ビジネスシングル | 23.7㎡ | 120×210cm 1台 |
エグゼクティブシングル | 26.4㎡ | 120×210cm 1台 |
スタンダードダブル | 25.4㎡ | 160×210cm 1台 |
スーペリアダブル | 24.3㎡ | 180×210cm 1台 |
デラックスダブル | 27.0㎡ | 160×210cm 1台 |
エグゼクティブダブル | 30.5㎡ | 180×210cm 1台 |
スタンダードツイン | 25.4㎡ | 120×210cm 2台 |
デラックスツイン | 30.5㎡ | 120×210cm 2台 |
クワドループル | 42.4㎡ | 110×195cm 4台 |
プレミアム”S”フロア スタンダードシングル | 19.7㎡ | 120×210cm 1台 |
プレミアム”S”フロア スタンダードダブル | 25.4㎡ | 160×210cm 1台 |
プレミアム”S”フロア スタンダードツイン | 25.4㎡ | 120×210cm 2台 |
ロイヤルスイート | 67.4㎡ | 120×200cm 2台 |
サクラスイート | 67.4㎡ | 120×200cm 2台 |
グランドパレススイート | 67.4㎡ | 200×210cm 1台 |
フジヤマスイート | 67.4㎡ | 200×210cm 1台 |
建物は地上24階、地下5階。1970年2月着工、1972年2月竣工で、設計・施工は竹中工務店。1973年には国内の優秀な建築物を表彰する「BCS賞」を受賞した。

1階にはロビー、フロント、カフェレストランがあり、2階から5階までは宴会・婚礼場等、6階から22階まで客室階で、23階にはレストラン、ラウンジバーがある。
地下1階は和食、中華のレストランとイベントルーム、地下2~3階は駐車場となっている。
大手門前にある「パレスホテル」(現「パレスホテル東京」)の姉妹ホテルとして1972年に開業、日本を代表する高級ホテルチェーン「パレスホテルチェーン」の一員である。
また、世界の独立系高級ホテルグループ「ワールドホテルズ」に加盟、更に日本を代表するホテル団体「日本ホテル協会」にも加盟している。
エントランス・ロビー
地下鉄九段下駅から徒歩でホテルに向かう。半蔵門線の改札口から4分ほどでエントランスに到着する。


車寄せにはドアマンがいる。寒い中お疲れ様です。
エントランスは昭和の時代のオフィスビルのよう。懐かしさを感じる人も多いのではないか。

風除室には私設の郵便ポストが設置されている。これまた年代物の「郵便差出箱7号」と呼ばれるタイプ。

エントランスホール・ロビーはシンプルであるが非常に落ち着いた雰囲気。ベージュ系の優しい色彩が心地よい。
エントランスにある”いけばな”は、草月流師範、本橋澄虹氏の作品とのこと。植物の生命力を表現した見事な作品であると思う。

チェックイン
ロビーに入ると右手にベルデスクがあり、女性のベルスタッフが”チェックインですか”と声を掛け、案内してくれる。

チェックインは初老の男性が対応してくれた。当日予約であったため前精算。1ランク上の部屋を使わせていただけるとのこと。

カードキー、朝食券、封筒入りの領収証を受け取り部屋に向かう。先ほどのベルスタッフが客室まで案内してくれる。荷物をお持ちするかと聞かれたが軽装なのでお断りした。さほど高い料金で泊まるわけではないので逆に恐縮だ。
東南アジア系の若い女性スタッフだが、エレベーター乗降時の案内方など、さすがよく教育されている。非常口もきちんと案内してくれる。

客室
アサインされた部屋は11階の1130号室。廊下の天井は低めで、設計の古さが現れている。



室内もシンプルだが気品がある。ダブルルームであるが、スタンダードタイプではなく、1ランク上の「スーペリアダブル」だ。客室面積は24.3㎡と、当ホテルのダブルルームの中では最も狭いが、ベッドはキングサイズのものが使用されている。

照明は間接照明(コーブ照明)が使われており、照度を確保しつつ優しい雰囲気を演出している。低い天井の圧迫感を和らげる効果もあろうか。

清掃は徹底されており、バスルームも含め嫌な臭いは全くない。壁材のクロスもシミや汚れが無く、しっかりとメンテナンスされている。
クローゼット・荷物置き場
室内に入りすぐ右手に、観音開き扉のクローゼットがある。ハンガーの数は7本。他にバスローブ2着と消臭剤、シューケアグッズ等がある。


荷物置きスペースは反対側にある。こちらは引き戸タイプ。

デスク・テーブル
デスク兼ドレッサーはオーソドックスなサイドボード。写真ではやや暗めだが、照明を全部点けるとそれなりの明るさになる。

デスク上は写真の通り。様々な物が置かれやや雑然としている。ケーブルの処理が残念。

無料Wi-Fiの案内と巻き取り式の有線LANケーブルがある。通常、有線LANケーブルは束ねられて引き出し内に入っていることが多いが、パソコンを使うビジネス客が多いのであろう。

無料の貸し出しスマホがある。ホテル向けレンタルスマホ「handy」だ。最近、国内でも導入するホテルが増えてきている。

サイドボードのチェストにはインフォメーションブックや浴衣、ドライヤ―などが入っている。2段目は番号登録式の保管庫がある。


チェアはひじ掛け付きのソファチェア。

窓際にはカウチソファと小さな丸テーブルがある。ベッドとの距離が近いのと、大きく出っ張っている壁に挟まれた場所にあるので、やや窮屈な感じがする。



ベッド
ベッドは前述の通り180×210cmのキングサイズベッド。さすがに大きい。

掛け布団はポリエステルデュベ。枕は硬め、柔らかめの2種類がスタンディング方式で並べられている。トスピローは省略。

マットレスは日本の大手メーカー「日本ベッド」の「BEADS」シリーズ。同社のマットレスブランドの中では中級クラスであるが、ポケットコイルを使用した自然な寝心地。おかげで熟睡ができた。
ベッドサイドテーブルは小振りのものが左右に設けられている。左側には電話機とメモパッド、右側にはティッシュボックスが置かれている。
ヘッドボードの両端に照明と電源コンセント、USBポート、照明スイッチがある。枕元でスマホの充電ができるので便利。



茶器・ミニバー
茶器はサイドボードの棚に収納されている。棚は3段引き出し式。中段に茶器、下段にポットが収納されている。


無料のドリンクアメニティは、デスク上のミネラルウォーターと篭の中に入ったコーヒー・お茶。コーヒーはドリップバッグなのがポイント高い。


冷蔵庫はサイドボード扉内にある。東芝製。ミニバーになっているが、ソフトドリンクとビール、おつまみだけの簡素な品揃え。


税抜きでビール550円、ソフトドリンク350円と良心的な値段。鮮度が命のビールは、11下~12下製造とやや古いものが入っている。


テレビ
テレビは恐らく48インチの大型画面。ベッドの正面にあり寝ながらテレビを見ることができる。なお、DVDプレイヤー等の映像再生装置は無い。

テレビのチャンネルは地上波とBS放送が楽しめる。外国人客が多いホテルらしく、海外放送も充実。

空調
空調は温度、風量を設定できるが、”暖房”という札が取り付けられているので全館集中方式であると思われる。

空調吹き出し口はベッド右側の壁上部にある。

バスルーム
バスルームは洗面台、トイレ同室のTOTO製3点ユニット。それほど狭くはなく浴槽も大きいが、全体的に古さが否めない。


洗面台は金属の縁取りがある陶器製のベーシンで、高級感はあるがやや小さめ。

トイレはTOTOのシャワートイレ「ウォシュレット」。

浴槽はゆったりサイズ。シャワーはハンドシャワーでお湯の温度を設定可能なサーモスタット混合水栓が使われている。


バスアメニティは持ち帰り可能なミニチューブ。フランスの「アルゴテルム」というブランド。筆者はよく存じ上げないが、海がコンセプトの”マリンコスメティック”だそうだ。

タオルはロゴ入り。浴槽上の棚にもあり、都合3組用意されている。洗面台横にはハンドタオルもある。なお、バスローブは前述の通りクローゼットに収納されている。
ちなみに、ホテルオリジナルのタオル、バスローブ、浴衣はオンラインショップで購入することもできる。


インフォメーション
ホテルの施設・サービス案内や約款が綴られたインフォメーションブックはチェスト引き出し最上段に入っている。

また、デスクの上には館内グルメ情報の冊子やルームサービスメニューなどが置かれている。
ステーショナリー
レターセットはバインダーの中に収納されている。A4サイズの便せんと洋形4号の封筒(国内用と国際用)、ポストカードの4種類。状態は非常に良い。こういう所に気を遣うのが”一流ホテル”であると思う。

電話機の前にはメモパッドがある。メモ用紙は残念ながら無地。

ルームサービス
ルームサービスは7:00から22:00まで。朝11:30までは朝食メニュー、それ以降は昼食、夕食メニューとなる。
朝食はアメリカンブレックファーストのセットメニューとアラカルトメニューがある。

昼食、夕食メニューはオードブルから肉・魚のメイン料理まで、またカレーやサンドイッチなどの軽食もアラカルトで注文できる。
ランドリーサービス
有料のランドリーサービスがある。ランドリーバッグと注文票はクローゼット内に吊り下げられている。

眺望
今回宿泊した1130号室は西側に窓がある。目の前には九段小学校の仮校舎とグラウンド。左手にはフィリピン大使館公邸が屋根だけ見える。


レストラン・バー
館内の料飲施設は6ヶ所、持ち帰りのケーキ&ベーカリーショップが1店舗ある。
表2 料飲施設一覧
店舗名 | ジャンル | 営業時間 |
---|---|---|
クラウンレストラン | フランス料理 | 11:30-14:00/17:30-21:00 |
千鳥 | 鉄板焼 | 11:30-14:00/17:30-21:00 |
クラウンラウンジ | カクテルラウンジ | 11:30-23:30 |
カトレア | レストラン&カフェ | 6:30-22:00 |
萬壽苑 | 広東料理 | 11:30-14:00/17:30-21:00 |
千代田 | 日本料理 | 7:00-9:30/11:30-14:00/17:30-21:00 |
カトレア
1階にあるブッフェレストラン&カフェ。朝、昼、夜それぞれブッフェが開催され、別にアラカルトでも注文できる。おすすめは帆立貝柱のピラフ。朝食ブッフェの詳細は後述する。

萬壽苑
地下1階にある広東料理のレストラン。軽めの夕食をとるため入店してみた。

アラカルトとコースメニューがある。コースメニューは2名から。
宿泊者限定のセットメニューもある。今回は「贅沢蟹肉入りチャーハン」とスープを頂くことにした。

店内は中国料理店らしく円卓が並んでいる。出張で泊まるビジネスマンも利用するので、一人でも気兼ねなく食事ができる。


しばらくすると、蟹肉と真っ赤なイクラが載ったチャーハンが運ばれてきた。これは旨い。チンゲン菜と卵のスープも絶品。3,000円以上のお金を払う価値がある。

食後にお茶を頂く。これはサービス。花柄の上品な食器は、石川県の陶磁器メーカー「NIKKO」製。

クラウンラウンジ
ゲストが立ち入りできる最上階、23階にあるバー。カクテルがメインだがその他のアルコール、ソフトドリンクも豊富。

コンセプトは「空から見た都会の夜景」。黒が基調のスタイリッシュなインテリアだ。


筆者はビール党なので、バーではいつもビール。フェアが開催されていたので、東京のクラフトビール「TOKYO 隅田川ブルーイング ビタースタウト」をいただく。

クラウンレストラン
23階にあるフランス料理レストラン。ホテルのメインダイニングである。お値段も高めなので気軽には入れない。

千鳥
23階にある鉄板焼レストラン。新鮮な食材を目の前でシェフが調理してくれる。
千代田
地下1階にある日本料理店。会席料理をはじめ、天ぷら、寿司など各種日本料理を頂ける。朝食営業もしており、和食のセットが提供される。

ショップ・その他施設
1階ロビーには前述のケーキ&ベーカリーショップ「ジュリー」がある。定番のオレンジケーキ、マロンシャンテリー、アップルパイがおいしいとのこと。

その他、1階の奥にはフラワーショップ、書店、理髪店などのテナントが数店ある。通路の内装は1970年代から変わっていないのであろうか。この雰囲気は貴重だ。


6階にはフィットネスルームがある。宿泊客は無料で利用できる。
朝食(ブッフェ)
朝食は1階「カトレア」でのブッフェまたは洋食セット、地下1階の「千代田」の和食セットから選択できる。今回は「カトレア」のブッフェを選択。

受付でスタッフに朝食券を渡し席に案内してもらう。
「ニューヨークスタイル」がコンセプトの店内は、赤と白を上手く使ったモダンなインテリアだ。


窓の外には「白糸の滝」がある。”モダン”と”自然”のマッチングが素晴らしい。

料理は洋食が中心だが、和食もある。オムレツカウンターでは好きな具材を入れて目の前でオムレツを焼いてもらえる。
★主な料理
-前菜・スープ:サラダ、チーズ、コーンクリームスープ
-洋食:オーダーオムレツ、スクランブルエッグ、目玉焼き、ソーセージ、ベーコン、温野菜、ショートパスタ、フライドチキン、カレー、パン数種類
-和食:ごはん、おかゆ、味噌汁、焼き魚、煮物、厚焼き玉子、そうめん、冷奴、納豆
-その他:カットフルーツ、ヨーグルト、フレンチトースト、パンケーキ、牛乳、シリアル







定番のスクランブルエッグはバターの香りが効いていてとても美味しい。温野菜があるのもうれしい。


チェックアウト
部屋に戻り、しばらくゆっくりする。無料サービスの産経新聞を一瞥。買ってまで読みたいとは思わない新聞だ。
チェックアウトは11時。ミニバーは使っていないので、精算も無くすぐにチェックアウト手続き終了。
感想
「パレスホテルチェーン」に宿泊するのは今回が2回目。当チェーンを代表する超高級ホテル「パレスホテル東京」はさすがに敷居が高いが、その他のホテルは比較的リーズナブルな金額で利用することができる。
建物は築48年とかなり古くなっているが、内部は順次改装され、きちんと手入れがされている印象で不快感は無い。逆に、貴重な昭和の雰囲気を残すセミクラシックホテルとして、このままの姿で維持されることを願う。
やや古いデータではあるが、平均室料(ADR)は13,000円、客室稼働率は80%以上と、近年はインバウンド需要を背景に好調な業績である模様。
しかし、この2020年は新型コロナウイルスという、かつて経験したことのない混乱からのスタートとなってしまった。
リーマンショック、東日本大震災に続くこの大きな困難を乗り越えて、日本を代表するホテルの一つとして更なる発展を期待したい。
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