【2019-10】交通革命「志摩MaaS」体験旅行記(その1)

2019年10月から11月まで、二か月間限定で実施されている「志摩MaaS(マース)」第1回目の実証実験。10月最初の日曜日に、実際に利用して旅をしましたので、その様子を詳しくお伝えします。

基本情報

志摩MaaSとは

「志摩MaaS」は、近鉄グループホールディングスと志摩市による新しい旅のスタイル。「志摩地域の近鉄の特急停車駅(鵜方駅・賢島駅)と周辺観光地を結ぶ、タクシー、バス、英虞湾舟運などの二次交通の利便性向上を図るとともに、新たな着地の観光体験やイベントを組み込んだ着地型旅行商品を造成し、志摩地域の観光地としての魅力向上を目指す。」と説明されている。

この「MaaS」とは、”Mobility as a Service”の略称であり、マイカー以外の交通機関・手段を、情報通信技術を活用してシームレスにつなぎ、単一のモビリティサービスとして提供する概念のこと。

要するに、鉄道・バス・タクシー・レンタサイクルなど、交通モード・事業者のワクを超えて経路・時刻検索、予約・決済等を一元化することにより、マイカーよりも効率的で、万人に開かれ、未来に渡って持続可能な交通を実現することを目的としている。正に”革命的”な取り組みだ。

志摩における実証実験は2回に分けて実施され、1回目は秋(10~11月)、2回目は冬(1~3月)に行われる予定。新たにデマンドバスやマリンキャブ(デマンド航路)などのサービスが始まった。

旅の概要

今回の旅は、近鉄鵜方駅を出発地として、バスで横山展望台、大王埼灯台を巡りつつ御座港まで行くというルートを軸とし、そこからマリンキャブを利用して英虞湾を渡り賢島駅に戻るという大まかな行程を立てて実行した。

都度「志摩MaaS」のサイトで経路検索、デマンド交通の予約を行いながら移動し、「MaaS」の使い勝手を検証してみたい。

志摩MaaSサイト https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/kintetsumaas/shimamaas/

路線マップ
出典:近鉄グループホールディングス「志摩MaaS」サイト

旅行記

近鉄電車で鵜方へ

前日は三重県の県都、津市に宿泊。まずは横山展望台までの経路検索をする。下の写真の通り経路が表示された。

横山展望台までの経路

ご覧の通り、通常の路線検索として「志摩MaaS」エリア外の列車時刻表も検索される。「近鉄特急券購入」というボタンがあるので、ここを押すと近鉄の「インターネット予約・発売サービス」サイトに移る。会員登録をしておくと、チケットレスで近鉄の特急券が購入できる。

同時に、鵜方駅前から横山展望台までの「三重交通オンデマンドバス」の予約も行う。こちらは、乗車時刻の1時間前までに行う必要がある。

予約には利用者登録が必要。必要な項目を入力すると簡単に登録できた。

利用者登録画面

経路案内では、20分の乗り換え時間で10:00発と表示されたが、実際の予約はこの時刻にかかわらず可能。鵜方駅で20分も待つ必要が無いので、少し早目の9:50で予約してみた。

デマンドバス予約画面

予約が完了すると、下図の画面が表示される。ここまで行うと、あとは乗車場所に行って指定されたバスに乗るだけ。非常に簡単だ。

予約完了画面

伊勢中川駅まで普通電車で行き、先ほど予約した特急に乗り換える。朝早い時間帯なので、車内は非常に空いていた。

伊勢中川駅にて
ガラガラの車内
志摩スペイン村を望む

9:37、定刻通り鵜方駅に到着。橋上の改札口を出て、南出口の鵜方駅前バス停に向かう。

鵜方駅到着
鵜方駅前バス停

デマンドバスで横山展望台へ

鵜方駅前のバス乗り場案内図には、横山ビジターセンター行きのデマンドバスの表示は無い。構内にある三重交通の乗車券発売窓口で尋ねてみると、5番乗り場から発車するとのこと。

鵜方駅前バス乗り場案内図

上のスマホ画面では右側が切れてしまっているが、運賃は200円と表示されている。支払は通常の路線バスと同様、現金の他に三重交通ICカード「エミカ」及び「Suica」「ICOCA」等の交通系ICカードが利用できる。また、三重交通の「みちくさきっぷワイド」等の一部の企画乗車券でも乗車可能。

早速5番乗り場に行ってみる。柵に「志摩MaaS」デマンドバスの臨時バス停表示が掲げられていた。

5番乗り場
デマンドバスの案内表示

バスが到着する前に、横山ビジターセンターからの帰りのデマンドバスを予約したいと思って操作したが、同時に二つ以上の予約はできないので、最初に予約した往路の予約を取り消すかどうか迫られてしまう。

往路を取り消すわけにはいかないので、そのままバスを待つことにする。

9:47、予約時刻の3分前にミニバスがやってきた。予約画面の通り、確かに前面及び側面ドア横に「10」の表示が掲げられている。

「10」の表示が掲げられたミニバス

運転士に予約した名前を告げて乗車。運賃は下車時に支払うのでそのまま乗り込む。他に乗客はいないので貸切状態だ。

帰路の予約方法について尋ねると、バスを下車してからすぐに予約してくださいとのこと。最低でも1時間の滞在が必須となる。

車内の様子

9:49、予約時刻より1分早く発車。定期路線バスではないので、乗車が完了したら予約時刻にこだわる必要は無い。

バスは筆者一人を乗せて快調に走る。国道167号線を走り、横山北交差点を左折、さらに横山展望台入口交差点を右折し、小高い丘を目がけてバスは進む。

国道167号線を進む

予定では所要時間11分であったが、やや早めの9:57に到着。正味9分ほどであった。運賃200円をICカードで支払い、下車。

横山ビジターセンター到着

下車後、バスは回送されていった。ビジターセンター前には立派なバス停ポールが置かれている。

回送されていくバス
バス停ポール

早速、帰路のデマンドバスの予約を行う。1時間以上先の時刻を指定しなければならない。次の目的地は大王埼灯台。鵜方駅11:26発の定期路線バスに乗る行程となるので、それまでに鵜方駅まで戻らなければならない。結構ギリギリだ。

さて、早速展望台を目指す。案内表示に従って進む。観光客は大勢いるが、筆者以外全員がクルマでここまでやってきた様子。大きな駐車場がビジターセンターから奥に進んだやや低い場所にある。

展望台を目指す

展望台への道は坂がきつい。歩道と車道があるが、歩道は非常に歩きにくい敷石が敷かれているので、多くの人がアスファルト舗装の車道を歩いていく。

展望台への歩道

やや急ぎ足で6分ほど歩くと、狭い駐車場に到着する。運が良いクルマはここまで入ることができる。ここまで来るとあと一息だ。

展望台直下の駐車場

最後の長い階段を昇ると、きれいに整備された展望台に到着。雑誌やガイドブック等でよく紹介される絶景が広がっている。

展望台
英虞湾の絶景

一角には「横山天空カフェテラス」という施設があり、中には軽食売店「ミラドール志摩」が営業している。メニューは飲み物や軽食類、スイーツなど。名物「志摩ソフトクリーム」を注文する。店舗階上は展望台となっており、一段高い場所から英虞湾を望める。

横山天空カフェテラス
休憩スペース内からの眺め
志摩ソフトクリーム
階上展望台からの眺め

30分弱ほど滞在し、ビジターセンターに戻る。中は伊勢志摩の自然や文化を紹介する展示施設となっており、開館中は無料で入ることができる。

横山ビジターセンター

最近よくある”どこから来たか”ボードが掲示されている。日本を除いて多いのが、やはり台湾・香港・大陸中国からの旅行者。

”どこから来たか”ボード

館内には休憩スペースがあり、バスの到着を待つことができる。もちろんトイレも設置されている。

休憩スペース

11:00頃、予約時刻よりやや早くバスが到着した。早速乗り込む。

車両と運転士は先ほどの往路便と同じ。待機場所で待機していたのであろう。

鵜方駅行

乗り込むとすぐに発車。乗客一人を乗せて鵜方駅に向かう。10分程で到着。

定期路線バスで大王埼灯台へ

鵜方駅からは定期路線バスで次の目的地、大王埼灯台に向かう。

これから乗るバスは、三重交通60系統御座線「御座港」行き。乗り場は2番。時刻表が掲出されており、便により経由が異なるが、1時間に1~2本程度の便数。

60系統時刻表

11:26発の便がやってきた。この便は日祝日に限り伊勢市駅が始発だが、乗客はほとんど乗っていない。

60系統「御座港」行

11:26定刻に発車。乗客は筆者含め4名ほど。他の乗客は地元の方と思われる。もっと観光客で混むかと思ったが拍子抜けしてしまった。

鵜方駅発車

バスはしばらく国道260号線を通り、途中で左折。畔名、名田地区の集落内を経由していく。

島茶屋付近にて

車窓左手に海が見えてくる。波切漁港への道を下ると、「大王埼灯台」停留所に11:48到着。運賃480円をICカードで支払い下車する。

バスを見送る

ここは写真の通り、漁港に面した雰囲気の良いバス停。桐垣展望台方面に向かうデマンドバス実証実験路線に接続している。

バス停ポール
デマンドバス案内板

バス停から灯台までは徒歩10分ほど。案内表示に従って歩いていく。

モニュメント
漁港標識

しばらく歩くと、漁協の駐車場がある。実証実験デマンドバスはここまで乗り入れてくる。

大王埼灯台駐車場停留所

防波堤に出て左に進むと、灯台への入口となる。歩道はブロック舗装できれいに整備されている。

灯台に向かう道

宝門の浜(ほものはま)

狭い歩道の左右には土産物店、真珠店が建ち並ぶ。昔懐かしい”昭和レトロ”な風情は、若い人には逆に新鮮に映るかもしれない。この雰囲気は”売り”にすべき。

土産物屋が建ち並ぶ
レトロチックな店

歩道の突き当りに純白の塔が現れる。非常に美しい灯台だ。

大王埼灯台

入場料(協力金)200円を支払い、塔の中を登る。1927年築、国の登録有形文化財に指定されている。

灯台入口
銘版

上に登ると360度の絶景。リアス式海岸の複雑な地形が良くわかる。熊野灘と遠州灘を分ける海の難所で、昔から船乗りたちに怖れられていたとのこと。

上部からの眺め

灯台は光り方(灯質)により他の灯台と区別される。ここ大王埼は「単せん白赤互光」で、毎30秒に白1せん光赤1せん光。巨大な灯器を間近に見ることができる。

LU-M型灯器

下に降りる。灯台の前には新しい多目的トイレが設置されている。ここを観光の柱にしようとテコ入れされている様子だ。付近には観光マップが掲出されており、この周辺には見どころも多い。

灯台前の公衆トイレ
大王埼観光マップ

帰り際に”ビューポイント”と紹介されている「八幡さん公園」に立ち寄ってみる。なるほど、お勧めされるだけあって、崖の上にそそり立つ純白の灯台が非常に美しい。

八幡さん公園
公園から見た灯台

次の「御座港」行のバスは12:43通過予定。まだ時間があるので港の周辺をぶらぶらする。

灯台の北側には階段がある。灯台周辺はその風景から絵の題材にされることが多いとのこと。そのため、ここ大王は「絵かきの町」と呼ばれている。

灯台北側の階段
須場の浜から見た灯台
須場の浜と波切神社
仙遊寺

漁港周辺には海産物店が並んでいる。店先には生きた伊勢海老が。10月1日に漁が解禁されたばかりで、今が一番値が安い時期とのこと。この場で刺身にしてもらうこともできる。

漁港周辺

さて、バスが来る時間となったのでバス停に戻る。

(その2に続く)

【2019-10】交通革命「志摩MaaS」体験旅行記(その2)

関連リンク

志摩MaaSサイト

三重交通

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