日本からの直行便も増え、日本人旅行客からも注目を浴びつつある、韓国・務安国際空港。以前から空港アクセスの弱さを指摘されていましたが、バスの運行本数も増え徐々に便利になりつつあります。バスによるアクセスの現状についてのご紹介と、今回、光州総合バスターミナルまで実際に乗車してみましたので、その時の様子を詳しくお伝えします。
基本情報
務安国際空港は、韓国南西部の全羅南道務安郡にあり、同国有数の大都市”光州”と、日本人にもゆかりが深い港町”木浦”の空の玄関口となっている。
現在の所、鉄道は乗り入れていないので、タクシーや自家用車を除けば、バスが主要なアクセス手段である。
路線
路線は全部で4路線ある。各路線の概要と時刻表(2019年6月現在)は以下の通りとなっている。
空港-光州
空港と光州市内にある光州総合バスターミナル(U-Square)を結ぶ「市外バス」路線。便により途中停車する停留所が異なる。なお、一部便は光州総合バスターミナル以遠に延長運転される。
運賃は5,000ウォン(深夜便は5,500ウォン、優等便は6,500ウォン)。予約制で、乗車券は空港内の券売機で購入できる。時刻及び所要時間は表1の通り。
表1 (参考) 空港-光州市内 市外バス時刻表 2019年5月31日~
空港→光州総合BT | 光州総合BT→空港 |
---|---|
6:30 B | 4:30 A |
8:00 B | 6:30 A |
9:30 A | 8:00 A |
11:00 A | 9:30 A |
12:30 B | 11:00 A |
14:00 A | 12:30 A |
15:30 A | 14:00 B |
17:00 B | 15:30 B |
18:40 A | 17:00 A |
20:00 A | 18:00 C |
22:30 A | 20:00 B |
*Aの停車停留所(所要時間) 光州松汀駅(39分)、松汀里(40分)、金大中コンベンションセンター(50分)、光州総合BT(60分)*Bの停車停留所(所要時間) 務安BT(10~20分)、光州総合BT(60分)*Cの停車停留所(所要時間) 務安BT(10分)、咸平BT(30分)、光州総合BT(60分)
空港-木浦(市外バス)
空港と木浦市内にある木浦総合バスターミナルを結ぶ「市外バス」路線。全便務安経由。
運賃は4,700ウォン(深夜便は5,200ウォン)。予約制で、乗車券は空港内の券売機で購入できる。時刻及び所要時間は表2の通り。
表2 (参考) 空港-木浦市内 市外バス時刻表 2019年5月31日~
空港→木浦総合BT | 木浦総合BT→空港 |
---|---|
6:30 | 5:00 |
8:00 | 7:00 |
9:30 | 8:30 |
11:00 | 10:00 |
12:30 | 11:30 |
14:00 | 13:00 |
15:30 | 14:30 |
17:00 | 16:00 |
18:30 | 17:30 |
20:00 | 19:00 |
22:30 | 20:30 |
*停車停留所(所要時間) 務安BT(15分)、清渓BT(25分)、木浦総合BT(40分)
空港-木浦(市内バス)
空港と木浦総合バスターミナル、木浦駅等を経由し三鶴島を結ぶ「木浦市内バス」路線(路線番号1000)。
運賃は1,900ウォン(T-money等の交通カード利用時は1,800ウォン)。予約は不要。時刻及び所要時間は表3の通り。
表3 (参考) 空港-木浦市内 木浦市内バス1000番時刻表 2019年4月1日~
空港→三鶴島 | 三鶴島→空港 |
---|---|
7:10 | 6:00 |
9:00 | 7:50 |
10:40 | 9:30 |
12:10 | 11:00 |
13:40 | 12:30 |
15:10 | 14:00 |
16:40 | 15:30 |
18:10 | 17:00 |
19:30 | 18:20 |
21:10 | 20:00 |
22:10 | 21:00 |
*主な停車停留所(所要時間) 木浦大学(23分)、木浦中央病院(37分)、木浦総合BT(41分)、蓮洞派出所(55分)、木浦駅(55分)、三鶴島(60分)
空港-務安
空港と務安バスターミナルを結ぶ「務安郡内バス(農漁村バス)」路線。
運賃は1,600ウォン。予約は不要。時刻及び所要時間は表4の通り。
表4 (参考) 空港-務安BT 務安郡内バス時刻表 2018年7月27日~
空港→務安BT | 務安BT→空港 |
---|---|
10:30 | 6:00 |
13:00 | 8:15 |
15:25 | 10:15 |
18:20 | 13:10 |
20:20 | 15:55 |
19:05 |
*主な停車停留所(所要時間) 望雲(5分)、務安BT(20分)
乗車体験記
乗車データ
項目 | データ |
---|---|
事業者 | 錦湖高速(금호고속) |
路線 | (市外バス)務安国際空港-光州 |
乗車駅 | 務安国際空港 |
降車駅 | 光州総合バスターミナル |
出発時刻 | 予定18:40 実際18:40 |
到着時刻 | 予定19:40 実際19:34 |
所要時間 | 54分 |
運賃 | 5,000ウォン |
乗車券購入
17:35、成田発のチェジュ航空7C1117便はほぼ定刻通り務安国際空港に到着した。入国審査、税関を通過し到着ロビーに出たのは17:48。すぐに光州行市外バスの乗車券を購入する。
市外バスは全席予約制であるが、到着ロビー内に券売機がある。ここで光州行と木浦行の乗車券が発券可能。
日本語で操作可能。目的地を選択すると、予約可能な便が表示される。次の発車は18:40。総座席数40席のうち、残席は37席と表示されている。便を選択するとシートマップが表示され、希望の座席を指定できる。今回は前方2列目を指定した。
席が確定すると支払を行う。日本発行のクレジットカードが利用可能。なお、現金では支払できない。
空港の様子
乗車券を手に入れたが、発車時刻までは50分位時間がある。空港内を散策する。
到着ロビーにはセブン-イレブンと喫茶コーナーがある。今回、いつも使っている交通カード「T-money」カードを忘れてきてしまったので、新規に交通カードを購入したいが、インフォメーションで聞いてみると空港では売っていないとのこと。セブン-イレブンではチャージのみ可能。
ターミナル建物の外に出てみる。空港の周りは畑が広がり、高い建物は見当たらない。広い駐車場があり、見る限り満車に近い状態。空港利用者の多くは自家用車でのアクセスと思われる。
バス乗り場は到着階(1階)の、出口に向かって右前方の1番出口を出た所にある。手前から務安行、木浦行、一番奥が光州行の乗り場となっている。
タクシー乗り場はバス通路を渡った所にある。タクシーの案内看板があり、近隣都市への所要時間と運賃が表示されている。光州までは40分で62,000ウォンかかるとのこと。
光州行バス乗車
光州行のバスは、18:34乗り場に到着した。バスは起亜製の高速タイプ車両。事業者はアシアナ航空と同じ錦湖アシアナグループの「錦湖高速」で、同社のトレードカラーである赤系統の塗装をまとっている。
荷物をトランクに入れ、早速乗り込む。車内は横2-2列の座席が並ぶ一般高速タイプ。シートはリクライニングする。
発車前に運転手が車内で乗車券を回収した。乗客は6名しかいない。
18:40定刻に発車。乗務員は運転手1名のみで、車掌は乗務していない。
車内前部には大きな液晶画面があり、停留所案内とテレビ放映サービスを兼ねている。
空港を出てすぐの所にある、「務安空港IC」から高速国道12号線(務安-光州高速道路)に入る。しばらくはのどかな風景の中を走る。
高速道路を30分ほど走り、「西光山IC」で一般道に出る。光州都市鉄道(地下鉄)1号線の高架が見えてくる。黄龍江を渡り国鉄の線路をくぐると、光州松汀駅はすぐだ。
19:14、光州松汀駅(송정역)に到着。KORAILやSRの長距離列車、光州都市鉄道(地下鉄)に乗り換える場合はここで下車する。
しばらくすると、右手に光州空港が見える。かつての光州のメイン空港であったが、国際線は務安に移管され、現在は国内線のみ発着する。
栄山江の橋を渡ると、バスは左折した。停車場所の一つ、金大中コンベンションセンターはここを直進したところにあるが、降車客がいないためか本来とは別のルートを通っているようだ。
光州市街中心部に入る。しばらくすると右折しバスターミナル構内が見えてくる。
ターミナル構内には、赤い塗装の「錦湖高速」バスがずらりと並んでいる。錦湖アシアナグループはここ光州が本拠地。
19:34、定刻よりやや早く光州総合バスターミナルに到着。バスは到着ホームに滑り込む。
ターミナル内はショッピングセンターとなっており、バス利用客以外の買い物客も多い。
感想
曜日や時間帯によるのかもしれないが、あまりの乗客の少なさに驚いてしまった。成田到着便の直近のバスであるはずだが、直前に発車した木浦行のバスもほぼ乗客0に近い状況であったので、成田便搭乗客のうち9割以上の人は、バス以外のアクセス手段を利用しているものと思われる。
近年新規路線開設が進み、2018年、年間利用客が初めて50万人を突破した。チェジュ航空の第3ハブ空港化、光州空港からの国内線完全移管など、今後当空港の重要度は更に増してくると思われる。
しかし、重要度に見合う活性化を成し遂げるためには、やはり公共交通アクセスの充実は欠かせない。地元新聞社「全南日報」も、空港活性化への課題として「アクセシビリティ向上のための広域バス路線の拡充や空港循環バス運行など大衆交通網の拡充は不可欠である。」と報じている。
ではどうすればよいか。路線網の拡充や運行本数の増加は当然必要であるが、韓国のバス事業独特の「市外」「市内」「農漁村」といった制度の垣根を越えた連携が必要ではないか。
また、高速鉄道路線「湖南高速線」務安空港ルートの早期実現も重要であると思う。現在の所、2020年着工、2025年の開業を目指しているとのこと。
いずれにしても、空港と鉄道とバスが相互に連携し、交通モード間・制度間・事業者間でのバリアが無い仕組みづくりが全体の活性化につながって行くと思われる。今後の展開に期待したい。
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