【2019年6月】バス乗車記:光州から大邱へ豪華「プレミアム高速バス」に乗車

韓国の豪華高速バス「プレミアムクラス」に乗ってみました。光州から大邱まで、距離211.9km・所要時間約3時間、プライバシーが確保された快適な空間でバスの旅を楽しむことができます。光州総合バスターミナルの様子やアクセスも含め、実際に乗車した時の様子を詳しくお伝えします。

基本情報

韓国における「高速バス」

韓国の高速バスは、全国に張り巡らされた高速道路網を縦横無尽に走る、便利で安い長距離移動手段として、韓国を旅する人にとって無くてはならない交通機関である。

韓国では、長距離バスは適用される法令によって「高速バス」と「市外バス」に分類される。乗る側からすれば両者の実質的な違いは明確ではないが、法的には、「高速バス」は「市外バス」のうち、”比較的長距離(100km以上)で、その60%以上を高速道路を走る、直行型のバス”と定義されている。

営業面では、「高速バス」は一部の例外を除き事業者11社が加盟する全国高速バス運送事業組合が一括管理している。同組合の予約システムは「KOBUS」というブランドで知られる。一方、「市外バス」の予約システムは、全国バス運送事業組合連合会の「BUS TAGO」と、全国旅客自動車ターミナル事業者協会の「TX BUS」(T-money)がある。

バスの種別(クラス)は、「一般」「優等」「プレミアム」の3種類がある。左から順に定員が少なくなり、逆に値段が上がる。このうち最も本数が多いのは「優等」だ。

運賃は発車の時間帯により異なり、22:00~1:59発車便は10%増の深夜運賃、2:00~3:59発車便は20%増の割増運賃が適用される。

光州-大邱線の概要

今回乗車する光州-大邱線は、おおむね40分~1時間の間隔で一日24.5往復の便がある。そのうち5往復は「プレミアム高速バス」の便となっている。運行事業者は「錦湖高速」と「中央高速」の2社。

所要時間は約3時間。2019年6月現在の発車時刻表と運賃表は下表の通り。

表1 【参考】光州→大邱 高速バス時刻表 2019年6月現在

光州発車時刻 種別 事業者
6:00 優等 中央高速
6:40 優等 錦湖高速
7:20 優等 錦湖高速
8:05 一般 中央高速
8:40 優等 中央高速
9:20 プレミアム 中央高速
10:05 優等 錦湖高速
10:40 優等 錦湖高速
11:25 優等 錦湖高速
12:05 プレミアム 錦湖高速
12:40 優等 錦湖高速
13:20 一般 錦湖高速
14:05 優等 錦湖高速
14:40 プレミアム 錦湖高速
15:15 優等 錦湖高速
15:20 優等 中央高速
16:00 優等 錦湖高速
16:45 優等 錦湖高速
17:25 一般 中央高速
18:05 優等 中央高速
18:45 プレミアム 中央高速
19:20 優等 錦湖高速
20:00 優等 錦湖高速
21:00 優等 錦湖高速
22:40 深夜プレミアム 錦湖高速
*停車停留所
  光州総合BT→西大邱高速BT→東大邱複合乗換センター

表2 【参考】大邱→光州 高速バス時刻表 2019年6月現在

大邱発車時刻 種別 事業者
6:00 優等 錦湖高速
6:40 優等 錦湖高速
7:20 プレミアム 錦湖高速
8:00 優等 錦湖高速
8:40 一般 錦湖高速
9:20 優等 錦湖高速
10:00 プレミアム 錦湖高速
10:40 優等 中央高速
11:20 優等 錦湖高速
12:00 優等 錦湖高速
12:40 一般 中央高速
13:20 優等 中央高速
14:00 プレミアム 中央高速
14:40 優等 錦湖高速
15:20 優等 錦湖高速
16:00 優等 錦湖高速
16:40 プレミアム 錦湖高速
17:20 優等 錦湖高速
18:00 一般 錦湖高速
18:40 優等 錦湖高速
19:20 プレミアム 錦湖高速
20:00 優等 中央高速
21:00 優等 錦湖高速
22:40 深夜優等 錦湖高速
*停車停留所
  東大邱複合乗換センター→西大邱高速BT→光州総合BT

表3 【参考】光州-大邱 高速バス運賃表 2019年6月現在 単位:韓国ウォン

種別 月~木曜日 金~日曜日
プレミアム 23,000 27,000
優等 20,800 20,800
一般 14,200 14,200
深夜プレミアム 25,200 29,700
深夜優等 22,800 22,800
深夜一般 15,600 15,600
割増プレミアム 27,500 32,400
割増優等 24,900 24,900
割増一般 17,000 17,000

なお、このほかに”大邱西部市外バスターミナル”との間に「市外バス」が一日12往復運行されている。ちなみに、”西大邱高速バスターミナル”と”大邱西部市外バスターミナル”は名前は似ているが全然違う場所にあるので注意が必要。

「プレミアム高速バス」とは

「プレミアム高速バス」は、2016年11月25日に運行が開始された韓国高速バスの新しいサービス。拡大を続ける高速鉄道網に対抗するために誕生した。

特徴は”強化された安全性”と”改善されたサービス”。従前の高速バス車両に比べて、様々な安全装置を追加して安全性を強化。また、快適なシートと1席当たりのスペース拡大、プライバシーの確保、エンターテイメントシステムの搭載などサービスも大幅に改善されている。

当初はソウル-釜山・光州の2路線のみであったが、順次運行路線が拡大され、現在は全国26路線で運行されている。今回乗車する光州-大邱線は2018年7月20日に開設された。

乗車体験記

乗車データ

項目 データ
事業者 中央高速(중앙고속)
路線 (高速バス)光州-東大邱
乗車駅 光州総合バスターミナル
降車駅 東大邱複合乗換センター
出発時刻 予定9:20 実際9:18
到着時刻 予定12:20 実際12:02
所要時間 2時間44分
運賃 23,000ウォン(平日運賃)

乗車券購入

乗車券は発車前日の夜に光州総合バスターミナルの窓口で購入した。”KOBUS”の予約サイトでは、残念ながら現在の所一般の外国人旅行者がオンライン予約することは困難である(韓国国内の携帯電話番号によるSMS認証が必須なため)。

乗車券発売窓口

予約は、乗車日、行先、発車時刻、人数を言えば簡単に購入できる。事前に”KOBUS”で発車時刻及び空席状況(シートマップ)を確認しておけば安心だ。

なお、窓口の周辺には自動券売機が設置されている。高速バスの”KOBUS”と市外バスの”BUS TAGO”の2種類の券売機があるが、残念ながら”KOBUS”はカード専用で、持参した日本発行のVISAカードは認識してもらえなかった。おそらく韓国国内発行カードに限定されていると思われる。

自動券売機
高速バス”KOBUS”券売機
市外バス”BUS TAGO”券売機

光州総合バスターミナルの様子

翌朝、再び光州総合バスターミナルに行く。このターミナルは市内中心部の西側にあり、周辺は商業施設も多く比較的にぎやかだ。

公共交通によるアクセスは主に市内バス。ターミナル前に市内バス停留所がある。中心部(光州駅、錦南路、文化殿堂)に向かう乗り場は道路手前側、中心部から来る降り場は道路反対側となる。

ターミナル直前にある中心部への乗り場
道路反対側にある中心部からの降り場

光州市内バスは多くの路線があり、慣れないと使いこなすのは容易ではないが、一番便利な路線は急行系統の「첨단09」で、錦南路、文化殿堂方面を最短経路・時間で結び、運行本数も多い。ただしこの路線、光州有数の混雑路線とのこと。また、光州駅、市庁、金大中コンベンションセンター、光州松汀駅を結ぶ「좌석02」も便利。

便利な「첨단09」系統

道路反対側でバスを下りたら、バス停のすぐそばにある地下道に入る。ここはエレベーターやエスカレーターは無いので、大きな荷物を持っている人や体の不自由な人は要注意。

地下道

地下道はターミナルと直結しており、階段を昇ると乗車券売場の脇に出る。

ターミナルの建物自体はショッピングや飲食店、映画館、オフィス等が入る大型の複合施設になっており、「U-square」という愛称がつけられている。また、隣接して新世界百貨店がある。

光州総合バスターミナル(U-square)
案内図

館内はバス利用者の他に、買い物客等で混雑している。飲食店も充実しており、夜遅くまで営業しているので便利。

乗車券売場周辺
書店(永豊文庫)

ターミナルは扇型になっており、到着ホームと出発ホームに分かれている。入口から向かって右半分が出発ホーム。

出発ロビー内には飲食店やコンビニもある。乗り場はわかりやすく色分けされており、黄緑色が市外バス、オレンジ色が高速バスの各乗り場。

出発ロビー
市外バス乗り場
高速バス乗り場

構内には多数のバスが停車している。やはり多いのは地元「錦湖高速」の赤いバス。隣には起亜自動車の工場が見える。

構内

今回乗車する便は「中央高速」のバス。大韓民国在郷軍人会傘下の会社で、本社は京畿道にある。ライオンがトレードマーク。ネコ科であることにちなんで、韓国のバスファンの間では「ニャー高速」と呼ばれているそうだ。

「中央高速」の優等車

乗車

時刻は9:10を回た。乗り場は乗車券に表記されており、予約した9:20発プレミアム便は4番線から発車する。

4番線に行くと、バスは既に入線していた。金色の派手な塗装で正面に「Premium Gold」と標記されている。LED行先表示器には、「광주(光州)→동대구(東大邱)」と表示されている。

車番は5008。車種は起亜グランバード・シルクロード「プレミアムゴールドエクスプレス」。

正面
側面

早速乗り込む。運転席横には読み取り機があり、乗車券に印刷されたQRコードを読み込ませる。この”搭乗手続”が行われると、モニターにある座席表がオレンジ色の”탑승완료(搭乗完了)”に変わる。

読み取り機
座席表(オレンジが”搭乗完了”)

座席は横1-2列、縦7列で定員21名。アサインされたシートは3番で、最前方の独立シート。安全性にやや不安があるが、”乗りバス”にとってはうれしい位置。

3番シート

シートは電動リクライニング。操作部は肘掛にある。フルフラットにはならないが、かなりの角度に倒すことができる。

リクライニング操作部

正面には個人モニターがある。言語は韓国語と英語。今回は使わなかったが、映画、テレビ、ラジオが視聴できるようだ。USB充電も可能。

モニター

モニター下部には、ドリンクホルダーとワイヤレス充電ポート、その下に大きなテーブルが引き出せる。これくらいの大きさがあれば、ノートパソコンを広げることも可能だ。

テーブル

テーブルの下は足置きスペース。フルにリクライニングすると、足の長い人はやや窮屈かもしれない。

足置き

通路側はカーテンで仕切ることができる。これでほぼプライバシー空間は確保できる。なお、2列席の間にもカーテンがあり、他人同士が座った場合でも安心。

カーテン
2列席(下車時に撮影)

上部はエアコン吹き出し口と読書灯がある。寒い場合はシャッターを閉じてしまうことができる。

上部

最後の乗客が乗り込み、満席になったところで発車。9:18で定刻よりやや早い。全員乗車が完了しているので、所定の発車時刻まで待つ必要性は無いが、これが日本なら律儀に発車時刻を守ることだろう。

バスは市街北西部の西光州ICから高速道路に入る。渋滞も無く順調に走る。文興JCTから高速国道12号「光州大邱高速道路」を東に進む。

高速道路を進む

しばらくはのどかな農村地帯を進む。谷間に水田が並ぶ風景は日本の農村風景とよく似ている。

農村地帯を進む
美しい車窓

速度は100~110km/h程度で走る。それほど飛ばしているわけではないが、日本のバスに比べアグレッシブな運転をするため、車間距離の調節や車線変更のタイミングがややシビア。

更に気になったのは、過積載なのか低速な貨物車が多い点。最低速度にすら達しない速度で走るので、工事で車線規制等がある区間では渋滞になってしまう。

韓国の道路交通事故が多いのは、このような安全・順法精神に乏しい運転が原因であろう。韓国における交通死亡事故率は日本の倍以上の高い水準にある。

設備面で、日本の高速バスと違う最も大きな点は、車内にトイレが無い事。この部分でプレミアム車の優位な点は、個人モニターで運転手にリクエストすることができる。乗客からリクエストがあると、運転席にある管理モニターにどの席の乗客がトイレをリクエストしているか表示される。こんな仕組みを良く考えたものだ。

バスは朝鮮半島南部の主脈、小白山脈を越える。山越え区間はトンネルが多い。

発車から1時間半たった10:51、サービスエリアで休憩となった。もしかしたら誰かがリクエストしたのかもしれない。ここで15分休憩との案内があった。

休憩のため停車

地図で調べると、ここは「居昌韓休憩所」とのこと。世界遺産の「海印寺」に程近い場所だ。

居昌韓休憩所

サービスエリアの様子は日本のそれと酷似している。フードコートで軽食を取ることができ、売店もある。

サービスエリアの様子
停車中のバス

11:03、全員そろったので15分たたずに発車。しばらくすると洛東江を渡り大邱広域市に入る。

洛東江の支流合川

高層マンションが並び始めると、もう大邱市街だ。西大邱ICで都市高速道路に入り、更に一般道に降りて西大邱高速バスターミナルに立ち寄る。

西大邱IC

11:44西大邱到着。ここでバスを降り大邱都市鉄道3号線(モノレール)に乗り換えることも可能。数名の乗客が下車しすぐに発車。

再び都市高速道路に戻り、バスは終点の東大邱を目指す。

都市高速からの眺め

12:02、東大邱複合乗換センターに到着。バスは1階の到着ホームに滑り込む。乗客が全員下車すると、すぐにどこかに回送されていった。

東大邱到着

感想

韓国の高速バスが便利な点は、何と言っても予約システムが統一されているところ。全国高速バス運送事業組合のサイト”KOBUS”で、事業者にかかわらず時刻検索や空席状況確認、予約が簡単に行える。

この点日本の場合は、事業者により予約システムが異なり、同じ運行区間でも一括して情報を得ることはできない。

交通は普遍性が命。競争はその共通のベースの上で付加価値を争うべきであるという、いわば”当たり前”のことがないがしろにされると、全体の利益を損なう。

この点は韓国も改善の余地がある。「高速バス」と「市外バス」が法的に区分されているのは理解に苦しむが、少なくとも予約システムは統一すべきではないか。

また、外国人の立場からは、オンライン予約が困難である点が非常に不便である。前述した通り、予約には韓国国内の携帯電話番号が必要であり、この番号は外国人登録証が無いと取得できない。

韓国の国情から、セキュリティ上やむを得ないのかもしれないが、せっかくサイト自体は日本語や英語などで多言語化されているのに片手落ちの感が否めない。

今後の改善を期待したい。

関連リンク

高速バス予約(日本語あり・予約は要韓国携帯番号)

中央高速(중앙고속)

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