平日の朝に、北京首都国際空港から北京南駅までエアポートシャトルバスに乗ってみました。その時の様子を詳しくお伝えします。
基本情報
北京首都国際空港と市内中心部の公共交通機関によるアクセスは、鉄道が”地鉄機場線”の1路線、バスはエアポートシャトルバス(机场大巴)と遠郊バス(远郊线路)がある。
このうち、北京市内中心部へ向かうエアポートシャトルバスは、掲出されている路線図によると、2019年8月現在、13路線がある。路線図は下図の通り。
空港と北京南駅を結ぶバスは、”2”系統(北京机场2线)で、概要は下表の通り。往・復で停車する停留所が異なるので注意が必要。
表 エアポートシャトルバス(机场大巴)2系統の概要(2019年8月現在)
停車場所 ※ | 空港(T3-T2-T1)-雍和宫-安定門-積水潭-西直門-復興門-西単-宣武門-自新路口北-北京南駅 |
運行頻度 | 30分毎(満席になり次第随時発車) |
運賃 | 25元~30元 |
事業者 | 北京民航安楽出租汽車 |
※ 北京南駅→空港行は途中西単のみ停車
乗車体験記
ターミナル2バス乗り場の様子
羽田からの海南航空夜行便を降り、イミグレーションを通過したのは6:40。今日は平日なので、北京中心部は激しい通勤ラッシュが発生するであろう。
目的地は北京南駅。北東郊外にある空港からは直線距離でも約30kmほど離れている。もし地下鉄で行く場合、2回乗り換えが必要となり、所要時間も1時間半位かかってしまう。なにより、ラッシュで混雑する車内で辛抱しなければならない。
朝の渋滞で有名な北京、バスは遅延のリスクがあるが、今回は日程にかなり余裕があったのでバス一択となった。
ターミナル2のバス乗り場は、到着ロビーを出て右手に進んだ所にある。各路線の乗り場には行先が電光掲示されており、分かりやすい。
乗車券売場は横断歩道を渡った所にある。自動券売機は見当たらず、窓口で係員に行先を告げて購入する。北京南駅までは30元。乗車券は昔ながらの、日本風に言えば「常備券」タイプだ。
目的の北京南駅行乗り場は、ターミナル建物側にある。乗り場はベルトパーテーションで列が仕切られている。先頭位置には案内表示があり、停車場所と所要時間、運賃が記載されている。終点北京南駅までは75分かかるとのこと。
空港から北京南駅まで乗車
まだ時刻は6:50。既に10名以上の乗客がバスを待っていた。案内表示によると、初バスは7:15と書かれているので、まだしばらく来ないのであろう、と思っていたところ、6:55に「北京南站」と表示されたバスが入線してきた。
バスはターミナル3が始発停留所なので、座席は半分以上埋まっていた。満席で次便になってしまうかな、と思ったが前方に並んでいた乗客は乗る気配が無い。
係員に「南站」と告げると、これに乗れとの指示が。乗ろうとしない人を追い抜き、乗車を試みる。トランクルームは満杯であったので、荷物は持ったまま客室内に入る。
乗ったはいいが、席が無い。バスはすぐに発車してしまった。立ったままなのかと思ったが、運転手はしきりに何か叫んでいる。早く座れと言っているのであろう。
乗客の一人が、そこが空いていると指を差してくれる。そこは大きな荷物に占領された席。荷物の持ち主がどけてくれて、ようやく座ることができた。やれやれ、朝から疲れてしまう。
ターミナル2を出て、本来ならターミナル1に寄るはずだが、満席だからなのか通過。
路線図によると、この系統は安定門、西直門と市街北側をぐるっと回って南下するコースが描かれている。
そのように進むのかと思いきや、バスはなぜか安定門方面には向かわずに、建国門の方向に南下して行った。
途中、数箇所で降車扱いを行う。このまま北京南駅まで行くのかと思っていたら、建国門を過ぎた交差点で右折、北京駅方面に向かう。9:03北京駅前到着。ここでかなりの乗客が下車していった。
北京駅前を発車すると、バスはぐるっと回って建国門に戻る。その後は二環路に入りノンストップで北京南駅に向かう。
8:30、北京南駅の北広場に到着。空港からの所要時間は、約1時間半であった。
バスを降りると駅舎北入口は目の前だ。
北京南駅バス乗り場の様子
せっかくなので、北京南駅北広場の空港行きバス乗り場を確認してみた。
駅舎内から、「北公交枢紐」という案内サインに従い進む。
駅舎から出ると、すぐにバス乗り場への昇り口がある。空港行きの乗り場は、駅舎側から向かって手前左側の「公交站台A」。
プラットホームには、乗車券売場が設置されている。空港行きは途中「西単」のみに停車する。所要時間は60分。
感想
空港、北京南駅の各バス乗り場は、乗り場がきちんと管理され非常に分かりやすくなっている。また、中国のバスには珍しい、路線図が掲出されている点も良い。
心配された渋滞は、三元橋付近までの間で流れが悪かったものの、その後は比較的スムーズであった。
しかしながら、結局今回乗車したバスが、なぜこのような経路であったのかは未だに不明である。新しく開設された系統なのか、北京駅行きの系統が臨時延長運転されたのか、はたまた何らかの事情による迂回運転だったのだろうか。
空港からのアクセスは、勝手が分からない旅行者が到着して最初に直面する難関だ。一層の情報の統一性と明瞭性が求められる。今回のようなイレギュラーなケースがあると、逆に明示されている情報が必ずしも正しくないのではないかと疑念が生じてしまう。
融通が利かない鉄道に比べ、柔軟な運行が可能なのがバスの利点の一つであるが、明瞭性の点から見るとそれが欠点に結びついてしまいやすい。
世界都市北京の玄関口にふさわしい、老若男女、国籍に関わらず安心して利用できる空港アクセスになることを期待したい。
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