【2023年6月】韓国編⑤ 単線の高速鉄道「中部内陸線」に乗車

韓国中部(慶尚・忠清)の地方都市を巡る韓国乗り鉄・乗りバスの旅、3日目です。今日は2021年12月に部分開業となった高速鉄道新線、中部内陸線に乗ってみました。

忠北線で堤川から忠州へ

ムグンファ1282列車に乗車

忠北線は京釜線の鳥致院と堤川(正式な終点は鳳陽)を結ぶ韓国鉄道公社(KORAIL)の路線。大都市を通らないため旅客列車の本数は多くは無く、貨物輸送が中心の産業路線である。

これから乗る列車は、8:59発の忠北線・京釜線経由ソウル行き「ムグンファ」1282列車。忠北線からソウルに直通する唯一の列車だ。中部内陸線の乗換駅である忠州までこの列車に乗車する。ちなみにこの「ムグンファ」とは列車の種別のことで、日本の急行列車に相当する。

窓口にて乗車券を購入。堤川から忠州までの距離は39.4kmだが、ムグンファの運賃は2,600ウォン(約290円)と激安。これで”急行列車”に乗れてしまうのだ。なお、同距離のJR本州幹線運賃は680円。急行や特急に乗る場合はさらに追加料金がかかってしまう。

堤川駅

既に1番線に停車中の1282列車に乗り込む。先頭は電気機関車で客車3両の編成。

1282列車
行先表示板

車内はリクライニングシートが並ぶムグンファ用客車の標準的なタイプ。

車内

8:59定刻に堤川を発車。隣駅の鳳陽で中央線と分かれて忠北線に入る。

堤川操車場付近

約30分ほど走り、右手に立派な橋で川を渡る単線の中部内陸線が合流。ほどなくして忠州に到着した。

中部内陸線の橋
忠州に到着

中部内陸線で忠州から夫鉢へ

忠州駅の様子

忠州は忠清北道第2の都市で人口は約20万人。駅は市街地の西はずれに位置し、駅前には数軒のホテルやコンビニがある程度で少し寂しい。

忠州駅
忠州駅前

駅から中心市街地へは路線バスが通じているが、便数はそれほど多くはない模様。

駅前のバス乗り場
市内バス

さて、ここから本日のメインイベント、中部内陸線の乗車だ。本路線は、京釜線、中央線に次ぐ第三の韓国中部縦貫路線として計画・建設され、2021年12月31日に夫鉢~忠州間が部分開業。引き続き延伸工事が行われており、2024年中には忠州〜聞慶間が開業予定で、最終的には金泉まで結ばれる予定である。

窓口で夫鉢までの乗車券を購入。次の中部内陸線の発車は11:02発のKTX734列車で、1時間半も待たなければならない。1日4往復しか列車が走らない”超ローカル線”だが、全列車が高速列車「KTX」で運転されている。忠州~夫鉢間の距離は56.3km、運賃は8,400ウォン(約930円)で、先ほど乗ったムグンファに比べるとやや割高であるが、それでも安い。

それにしても、駅構内には乗客の姿がほとんど見られず、とても市の代表駅であるとは思えないほど閑散としている。駅舎もかなり年季が入っており、昔の韓国国鉄時代の雰囲気が色濃く残る。

駅周辺をブラブラして時間を潰し、発車時刻10分前に乗り場に向かう。駅構内改良工事が行われており、旧駅舎の隣に立派な橋上通路ができていた。

橋上コンコース

当駅は貨物取扱駅であり、コンテナヤードには40フィート海上コンテナが山積みされている。

駅構内

KTX734列車乗車

中部内陸線の乗り場は5・6番線。ホームドアが設置されている。

5・6番線ホーム

734列車は既に入線していた。昨日安東から堤川まで乗車したものと同じ「KTX-イウム」と呼ばれる動力分散方式の新型車両だ。

乗車口

今回は一般室(普通車)に乗車。回転リクライニングシートがずらりと並ぶ客室内はJRの特急車両の様だ。

一般室車内
シート

電源プラグとともにスマホのワイヤレス充電器も装備。

昨日乗った優等室と同様、シートにはオーディオの操作パネルがある。

そうこうしているうちに、列車は静かに動き出した。11:02定時発車。残念ながら乗車率は1割にも満たないか。

忠州発車

先ほどムグンファから見た南漢江の鉄橋を渡る。なお本路線は単線であるが、将来の複線化を想定した準備工事はなされていない様子。

列車は順調に速度を上げ、最高速度200km/hで走る。沿線はのどかな農村地帯で、日本の田舎にそっくり。

車窓

途中駅は3駅あるが、全ての列車が各駅に停車する。途中駅での乗降も多くはない。

やがて林立する高層マンションが見えてくると終着駅の夫鉢だ。

夫鉢付近

11:37定時到着。わずか35分の乗車であった。

夫鉢到着

夫鉢駅の様子

夫鉢は京畿道利川市に位置し、京江線が接続する。この京江線は「首都圏電鉄」と呼ばれる”電鉄”路線であり、同じ韓国鉄道公社(KORAIL)運営でも中長距離”列車”扱いの中部内陸線とは営業体制が全く異なるが、ホームは仲良く同居しているのが面白い。

京江線乗り換えホーム

当然京江線の方はT-moneyなどの交通系ICカードによるSF乗車が可能なので、ホーム上に入出場の簡易改札機が設置されている。

ホーム上のIC改札機

駅出入口の改札も、”電鉄”と”列車”の両方のチケットに対応するハイブリッド自動改札機が設置されている。

駅改札口

”列車”であるKTXはICタッチでは乗車できないので、チケットのQRコードを読み込ませるように案内表示されている。

夫鉢駅舎

直通座席バスで広州からソウルへ

京畿広州駅と広州バスターミナルの様子

さて、中部内陸線乗車という目的は達成したので、今日の宿泊地であるソウルに向かうことにする。そのまま電車を乗り継いで行くこともできるが、ちょっと変わったルートで行ってみたい。

京江線の電車に乗り、京畿広州という駅で下車する。広州はハングルで”광주”と表記されるが、有名な光州と全く同じであるため、こちらの駅名は京畿道の道名を冠している。

京畿広州駅名標
京畿広州駅舎

ここからソウル駅前まで直通座席バスが運行されている。駅近くのバス停からも乗車することができるが、座れるかどうか分からないので起点のバスターミナルまで行ってみることにする。

駅前のバス停で待っていると、大小さまざまなバスがやってくる。バスターミナルまで行く路線はいくつかあるようだが、案内表示はハングル表記のみなので分かりにくい。

駅前を発着するバス

バスターミナルまで行く路線の一つ、660系統のバスがやってきた。水原市内からやってくるバスだ。

660系統バス

路線案内図にはバス停の名前がずらりと並ぶ。なぜか京畿広州駅のみ英語が併記されている。運行事業者は高速バスも運行する「大元高速」。

案内図

約10分ほどで終着のバスターミナルに到着した。

広州バスターミナル

バスターミナルは商業施設が併設された複合ビルになっている。市街中心部からやや離れている駅よりも、中心市街地にあるこちらのターミナルの方がにぎやかだ。

ターミナルビル

しかしターミナルのコンコースは薄暗く、やや陰気な感じがする。

ターミナルコンコース

空港バスや各地に向かう市外バスも発着しているが、便数は多くはない。

3201系統バス乗車

ソウル駅前行きの3201系統バスが20~30分おきに出発しているはずだが、案内表示類は一切無く乗り場はどこなのかさっぱりわからない。ここを発着するバスの利用者は地元住民が主体であり、一見の旅行者が訪れる場所ではないのであろう。

プラットフォームに並ぶバス

ウロウロしている乗務員に聞いてみると、奥の駐車スペースに停まっているバスがそうだと指を差す。

3201系統バス

ようやく乗車することができた。バスはヒュンダイユニバースでリクライニングシート装備。路線の性格的には日本の近距離高速バスに近い。ソウル首都圏にはこのような直通座席バス、広域急行バスの路線が多数設定されているが、その一部は国の法令に基づく「大都市圏広域交通委員会」の監督下に置かれ、実際の運行は民間事業者が行う公設民営方式が採られている。この3201系統も2023年1月1日に同委員会に移管されたが、運行は従前より大手バス事業者の「京畿高速」が担当している。

13:40ターミナルを発車した。運賃はソウル市内まで均一の2,800ウォン(約300円)。運行経費に国費が投じられているので割安に設定されている。

ターミナル発車

バスは広州市内をこまめに停車して乗客を集めていく。何度も乗り換えが必要な電車に比べてはるかに楽な直通バスの需要は高い。

約1時間20分でソウル市庁停留所に到着。ここで下車し今日の宿泊先に向かった。

ソウル市庁停留所

この日は日本統治時代からの名門ホテル、ウェスティン朝鮮ソウルに宿泊。翌日仁川から日本に帰国した。

ウェスティン朝鮮ソウル

(2023年6月韓国編終了)

お知らせ

ウェスティン朝鮮ソウルの朝食や客室の様子は、姉妹サイトにて詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

【朝食記】ウェスティン朝鮮ソウル
韓国、ソウルを代表する老舗高級ホテルの一つ、「ウェスティン朝鮮ソウル」の朝食レポートです。日本人にも人気の名門ホテルの朝食ブッフェを頂きました。(2023年6月)いますぐ予約agodaから予約Booking.comから予約インフォメーション
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