【2023年6月】韓国編④ 新鋭の高速列車「KTX-イウム」で安東から堤川へ

韓国中部(慶尚・忠清)の地方都市を巡る韓国乗り鉄・乗りバスの旅、2日目の続きです。安東市から列車で堤川に向かいました。

河回村から安東駅へ

バスを待つ

世界遺産「河回村」の散策を終え、村の中心部から路線バスで安東ターミナル(安東駅)に戻ることにしたが、時刻表に書かれた15:45発のバスが姿を現さない。

バス停のある村中心部の広場

何かトラブルでも発生して遅れているのであろうか。安東駅17:50発の列車を予約してあるがまだ時間に余裕がある。とは言え待っていても何の情報も入らないので、とりあえず村の入口にある案内所まで歩いて行ってみることにする。

入口への道

村を出て案内所の建物が見えた所で、向こうからバスがやってくるではないか。何だよ!と心の中で文句を言いながら急いで村のバス停に引き返すことにする。

しかし、やってきたバスは予想とは違い、白とピンクの一般路線車ではなく特別装飾車の「トロリーバス」。はて、この車の担当便は次の16:30発のはず。

「トロリーバス」(安東バス3448号車)到着

調べてみると、1日3便の屏山書院経由便は土休日に限り村の中までは入ってこない模様。そんな大事なことは外国人にも理解できるようにちゃんと表示してほしい。

何はともあれこれに乗ればターミナルまで戻ることができる。16:30の発車までまだ30分位あるが、暑さと疲労でもう歩きたくないので、車内で待つことにする。

乗車

特別装飾車「トロリーバス」に乗車

「トロリーバス」は、20世紀初頭の路面電車風のレトロ装飾が施された特別装飾車で、韓国の各地に同様の車両が導入されている。もちろんトロリー(架線)集電式の電気バスではないが、韓国ではなぜかこの名で呼ばれている。ちなみに韓国では過去から現在に至るまで”本当の”トロリーバスは導入された実績はない。

ここ安東の「トロリーバス」は車体に仮面舞踊と河回村の様子が描かれている。

車内は木材を使った内装に改造されノスタルジックな雰囲気。ただしネットの情報では一般の乗客には評判はよろしくないようだ。

「トロリーバス」車内

16:30、私の他に数人の観光客を乗せて定刻に発車。途中での乗車客が多く市内に入るころにはほぼ満席になった。17:00頃、安東バスターミナルに到着。

それにしても韓国は地方都市でも路線バスが比較的元気だ。日本と同様の車社会だが、市内バスの路線網は自治体が管理、実際の運行は複数の民間事業者に任せる準公営方式が主流。物価に比して運賃が低廉に抑えられている一方、システム化等の利便性向上の取り組みは自治体が責任をもって進めている。幾ばくかの補助金を出して路線の管理運営は事業者に丸投げ状態の日本の地方路線バスとは対照的である。

この安東市の市内バスも市当局が管理し、3つの事業者が圏域別責任路線制(地域を分けてそれぞれの事業者に運行を任せる形の共同配車方式)により運行している。

安東から列車で堤川へ

ターミナル内の食堂

安東から列車で堤川に向かい、今日はそこで宿泊の予定。17:50の発車まで時間があるので、少し早めの夕食と取ることにする。ロッカーから荷物を取り出し、バスターミナル内の食堂に入った。

バスターミナル内の食堂
メニュー

事前に食券を購入するスタイル。メニューは英語が表記され、料理の写真もあり外国人にも分かりやすい。8,000ウォンのキムチチャーハンをオーダーする。

食券売り場

料理は普通に美味しいが、店内をハエが飛び回っているので、料理を必死に死守しながらのせわしない食事となった。

キムチチャーハン

さて、食事を終えて満腹になったところでバスターミナル隣の安東駅に移動する。交差点を渡るだけなので移動時間は信号の待ち時間を除けば1分もかからない。

安東駅入口

安東駅の様子

安東駅は韓国鉄道公社(KORAIL)中央線の駅。日本統治時代の1942年に全線開通した歴史の古い路線であるが、近年はほぼ全線にわたり大規模な改良が行われている。この安東駅を含む区間も2020年12月に線路付け替えが行われ、当駅も市中心部から現在地に移転した。

駅コンコース

駅舎内の出口には漢字の立派な駅名標が掲げられている。かつて旧駅舎の正面に掲げられていたもののミニチュアレプリカであろう。ちなみに中国語では”駅”を表す漢字は「站」だが、韓国語では日本と同じ「驛」(駅の旧字体)を用いている。

駅舎内にはカフェやコンビニ、観光案内所などがある。

カフェと観光案内所
コンビニ
きっぷ売り場

KTX-イウムに乗車

これから乗る列車は17:50発清凉里行きKTX782列車。すでに列車はホームに入線している様子なので早速乗り込むことにする。

プラットホームは、韓国によくある番線により高さが全然違う型式。下の写真は右側の3番線が高床式で、いわゆる”電車用”。左側の4番線は低床式でこちらは”列車用”だ。このような段差のあるホームはソウル首都圏ではよく見られるが、地方駅でも導入されつつあるようだ。

高さの違うホーム

KTX782列車は高床式の3番線に停車中。車両は「KTX-イウム」と呼ばれるタイプで、その車両番号から日本では”150000系”というかなりのインフレ形式で呼ばれている。このタイプはKORAILの高速列車「KTX」用の車両としては最新型で、2021年1月より清凉里~安東間での運用が開始された。

3番線に停車中のKTX-イウム(782列車)

6両編成で、先頭の1号車は優等室(日本のグリーン車に相当)、2~6号車は一般室(普通車)の構成となっている。ちなみにこの車両の構造面での最大の特徴は、動力分散方式(日本の新幹線と同様、モーター搭載車が編成の中で分散されている方式)が採用されていること。KTXは元々、動力集中方式(モーターの搭載が機関車に集中されている方式)が主流のフランスの技術が採用されているため、大きな方針転換となった。

編成案内図

今回はやや奮発して優等室のチケットを購入した。運賃は12,700ウォン、日本円で約1,600円。安東→堤川の距離は56kmだがこの値段でグリーン車相当に乗れてしまうというのは安い。

客室に入ってまず驚いたのが、各座席にモニターがあること。まるで飛行機の機内の様な光景が目に入る。

優等室車内

シートは2-2の4列で、シートピッチもゆったりとしている。

優等室シート

モニターは何とインターネットに繋がっている。

モニター
グーグル

YouTubeも視ることができる。

YouTube

下の方にはスマホのワイヤレス充電器がある。もちろん有線での充電も可能。

ワイヤレス充電器
電源ポート

シートの肘掛け部には電動リクライニングとオーディオの操作パネルがある。

シートの操作パネル

せっかくなので隣の一般室も見てみる。こちらも2-2の4列シートだが、シートピッチは比較的狭く、座席毎のモニターも無い。

一般室車内
一般室シート

さて、そうこうしているうちに発車時刻となった。17:50定刻に安東を発車。複線の真新しい線路の上を快走していく。

この区間の最高速度は現状150km/hとのことだが、線路規格そのものは250km/hで設計されているそうだ(韓国公共投資管理センター資料より)。中央線は「高速鉄道路線」ではないが、韓国の鉄道事業法上は「準高速鉄道路線」とされている。

韓国ではこのように国により在来線への投資が積極的に行われており、近い将来ほとんどの幹線路線が200km/h以上で走ることになるであろう。日本の地方在来線の惨憺たる状態に比べ、羨ましい限りだ。

18:50、ほぼ定刻通りに堤川に到着した。

堤川駅到着

中央線随一のジャンクション駅らしく、構内は広く何本も線路がある。

堤川駅構内

KTX-イウムはソウル清凉里に向けて定刻に発車していった。

堤川を発車するKTX-イウム

堤川で宿泊

この駅に降り立ったのは十何年振りくらいであろうか。駅舎は建て替えられすっかり様子が変わってしまった。

堤川駅舎

堤川市は忠清北道に位置する都市で、人口は約13万人。かつてはセメント産業が盛んであったが、現在はサービス・観光産業が主力となり、特に韓方(韓国風の漢方)医学に力を入れ「自然治癒都市」として売り出している。

さて、今日の宿泊場所は予約していないので、適当なホテルを探すことにする。駅は市の繁華街からはやや離れているが、駅前には安宿が多くあり、質にこだわらなければ寝る場所に困ることは無い。

駅から少し歩いたところにある「Wモーテル」というところに飛び込みで入ってみる。韓国によくあるラブホもどきの小規模なビジネス旅館だ。

受付のおばちゃんに「パンイッソヨ」と効くと「ネー」との返答。なんだ”ねえ”のかと早とちりして出て行こうとしたら呼び止められた。そうだ韓国語で「ネー」は「Yes」のことだとすっかり忘れていた。

Wモーテル

宿賃は45,000ウォン(約5,000円)。VISAカードで決済する。

部屋は質素だが十分な広さがある。特に不潔な所も無くゆっくりと休めそうだ。1階のカラオケ店から鳴り響く大音量の騒音には閉口したが、それも21時頃には止んだ。

客室

(⑤に続く)

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