タイ・カンボジア、ビジネスクラス弾丸ツアーの帰路は、プノンペンからシンガポール、マニラを経由して成田に戻るという変則的な行程となります。
最初のフライトは、世界に誇る5スターエアライン「シンガポール航空」。実はエコノミークラスも含めて今回が初搭乗となりました。短距離フライトではありますが最新のスタッガードシートを体験することができました。
また、プノンペン国際空港のラウンジも初体験となりました。その様子もあわせて詳しくお伝えします。
なお、搭乗時の動画をYouTubeにアップしてありますので、あわせてご覧ください。
項目 | フライト |
---|---|
航空会社 | シンガポール航空(Singapore Airlines) |
便名 | SQ157 |
発地 | プノンペン国際空港(PNH) |
着地 | シンガポール・チャンギ国際空港(SIN) |
機種 | A350-900 |
機体記号 | 9V-SHS |
出発時刻 | 予定18:25 実際18:24 |
到着時刻 | 予定21:25 実際21:19 |
所要時間 | 1時間55分 |
搭乗クラス | ビジネス |
座席番号 | 15K |
イントロダクション
シンガポール航空(SIA/SQ)は言わずと知れたシンガポールのフラッグキャリア。航空連合はANAやタイ国際航空と同じ「スターアライアンス」に加盟している。英スカイトラックス社のエアライン格付けでは、ANAとともに「ザ・ワールド・ファイブ・スター・エアラインズ(The World’s 5-Star Airlines)」の認定を受けており、サービス水準の高さには定評がある。
同社のプノンペン・シンガポール線は、2022年10月現在毎日3往復の運航となっている。
チェックイン
市内から路線バスに乗り空港前で下車。キャリーバッグを引きずりながら車が行き交う恐怖の大通り強行突破を行い、何とか出発ターミナルビルにたどり着いた。
空港に着いたのは15時過ぎ、時間が早すぎたようでまだチェックインが始まっていなかった。空港内をぶらぶらして時間をつぶすことにする。
出発ターミナル内にはカフェが1軒。ここで軽食をとることも可能だが、がっつり食事をしたい場合は隣の飲食店エリアに何店舗かレストランがある。吉野家やバーガーキングといったおなじみのチェーン店もあった。
チェックインは16時には開始されていた。カウンターは17~21番。
エコノミークラスのレーンは長蛇の列ができていたが、ご覧の通りビジネスクラスレーンはガラガラ。もちろんスターアライアンスゴールドメンバーはエコノミーであってもこのレーンを使える。
すぐにチェックインの順番が回ってきた。ここで予想通りプノンペン→シンガポール、シンガポール→マニラの搭乗券が発券となった。マニラは第3ターミナル内での同日乗り継ぎであったが、やはり一旦フィリピンに入国しなければならないとのこと。預け荷物もマニラでピックアップすることになる。
カウンターの係員からフィリピン入国には「eARRIVAL CARD」の発行が必要との案内を受ける。これはフィリピン入国までにスマホ上で行えばよいので急ぐ必要は無い(追記:2022年12月から、フィリピン入国電子登録は「eARRIVAL CARD」から「eTravel」に変更となったとのこと)。
出国
保安検査場、イミグレは2階にある。もうカンボジア国内に用は無いので早速出国してしまう。
あっという間にイミグレにて出国手続き完了。免税店内が通路となっており、強制的に入店となる。
免税店を抜けて搭乗エリアに入るとハードロックカフェのロックショップサテライト店舗があった。人気のピンバッジなどプノンペン限定の商品が揃っている。
プラザ・プレミアム・ラウンジ
まだ搭乗開始まで時間がたっぷりあるので、ビジネスクラス利用のメリットの一つであるラウンジを利用してみることにする。現在本空港にあるラウンジは「プラザ・プレミアム・ラウンジ」の1箇所のみ。香港に拠点がある国際的な空港サービス会社による運営のラウンジだ。
案内看板に従い2階に進む。ラウンジ入口はスタイリッシュなデザインだ。
受付を済ませて入店。入口はこじんまりとしているが、中に入ってみるとその広さに驚いた。ソファがずらりと並んでいる様子は壮観。しかし利用客は数えるほどしかいない。
フードは中々充実している。どれも美味しそうではあるが、機内食も楽しみであるので食べるのはほどほどに。
なお、このラウンジはラウンジアクセスプログラム「プライオリティパス」及び「LoungeKey」では残念ながら利用することはできない。
搭乗
機内へ
そろそろ搭乗開始時刻となるのでラウンジを後にして8番搭乗口に向かう。ラウンジからはそれほど離れていないので移動は楽。
8番搭乗口付近にはスタバや本屋などがあり、ラウンジを利用しなくても時間つぶしができる。ちなみにこのスタバは2015年12月に開店したカンボジア1号店とのこと。現在はプノンペン市内に20店舗以上展開、アンコールワットがある観光都市シェムリアップはもちろん、バッタンバンやシアヌークビルといった地方都市にも出店されている。時代は変わったものだ。
ゲート付近の大きな窓からは、これから搭乗するシンガポール航空のA350-900が見える。機体記号は9V-SHSで、2020年10月にデリバリーされた比較的新しい機体。
18:06搭乗開始。プライオリティレーンから優先搭乗となる。もうすっかり外は暗くなってしまった。A350の特徴であるタヌキ顔がどこかユーモラス。
機内の様子
シートは中央に2席、両サイドに1席ずつ配置(1-2-1)のスタッガードシートで、その意味の通り千鳥状に配置されており、全座席から直接通路にアクセスできる。なお、下の写真は離陸後巡航中に撮影したもの。
シンガポール航空のA350は用途により3タイプあり、このプノンペン線は中距離(リージョナル)タイプの機材が使われている。
各シートには専用の小テーブルがある。その下には各種操作パネルと液晶画面のリモコンが設置されている。ひじ掛けは高さ調整が可能。
また、スライド式のドアがある小物入れがあり、中にヘッドフォンが入っている。電源類もあり、スマホなどの充電ができる。
前方はオットマンとなっており、足を延ばすことができる。その上には引き出し式の大型テーブルがある。
シートを倒すとオットマン部を含め76インチ(約193cm)のフルフラッドベッドに変身。
モニターは大型の18インチHDタッチスクリーン。画質は非常に綺麗で映画などを存分に楽しめる。
席に着くとウェルカムドリンクのサーブがある。とりあえずオレンジジュースをオーダー。
エコノミークラスの様子は不明だが、ビジネスクラスは空席が目立つ。2割程度の搭乗率であろうか。
出発
ほぼ定刻の18:24プッシュバック開始。このプノンペン国際空港は国を代表する首都の空港であるが、滑走路は1本のみで発着便数も少ないためのんびりした雰囲気だ。
18:37、RWY23から離陸。プノンペン郊外の夜景を見ながら高度を上げていく。
機内食・機内エンタメ
ベルト着用サインが消えると機内食のサーブが始まる。短距離フライトなのでビジネスクラスとしてはやや簡素な内容か。メインはシンガポール風ローストチキンライスを選択、中々おいしい。
食事が終わると自慢の大画面で機内エンタメを楽しむ。映画のメニューも豊富だ。
フライト情報は飛行ルートなどを様々な角度から見ることができて面白い。それにしても、カンボジアとシンガポールは直線距離では意外と近いことを改めて認識。
シンガポールでの自社乗り継ぎ便の案内も表示される。次に乗るマニラ行きSQ918は予定通り出発できるようだ。
到着
快適なビジネスクラスの旅はあっという間に終盤へ。着陸態勢に入り順調に高度を下げていくが、窓の外を見るとどうやら雨が降っている様子。眼下には目的地のチャンギ国際空港がやや滲んで見える。
一旦南下して大きく右旋回後、空港の南側からアプローチ。シンガポール海峡に浮かぶ無数の貨物船の明かりを見ながら最終着陸態勢に。
21:13、RWY02Lに着陸。短いタキシングののち21:19、定刻よりやや早くターミナル3のB1スポットに到着した。なお、カンボジアとシンガポールの間は1時間の時差があるため、所要時間は1:55であった。
感想
今回、シンガポール航空には初の搭乗であったが、短距離フライトとは言え、世界的に評価が高い同社のビジネスクラスのサービスを堪能することができたのは良い体験となった。引き続き、マニラ行きの便も楽しみたいと思う。欲を言えばより質の高い長距離のフライトを体験したいところであるが、これは将来の楽しみとして残しておこう。
カンボジアは近年目覚ましい経済発展を遂げているが、2019年の名目GDPは隣国タイに比べると20分の1、ベトナムの10分の1程度にとどまり、まだまだ発展途上であると言ってよい。しかしコロナ渦で一旦は落ち込んだものの、今後も高い経済成長が見込まれ、人の移動も増えてくると思われる。
前述の通り現在のプノンペン国際空港は年々改良が進められているものの、滑走路は1本のみの運用で、拡張も反対運動などにより困難であることから、現在プノンペン中心部から南方30kmの場所に新空港を建設中である。最終的には4000m滑走路が4本整備される計画で、世界で9番目に大きい空港になるとのこと。これが実現すれば東南アジア随一のハブ空港として機能するポテンシャルを秘めている。
シンガポール航空とカンボジアとの結びつきは古くからあり、1990年代にはカンボジア政府とシンガポール航空(40%出資)の合弁で「ロイヤル・エアー・カンボジア」という航空会社が誕生、筆者も2回搭乗したことがあるが、途上国の航空会社としてはサービス水準の高さには定評があった(残念ながら2000年代に消滅してしまった)。
今後プノンペンの新空港が開業した暁には、シンガポール・プノンペン線も増便されることが予想され、両国間の交流が更に活発になることであろう。今後の展開に注目である。
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