空港近くの”リゾートホテル”、「ラディソン成田」に宿泊してみました。今回はミドルクラスの客室「プレミアムスタンダードダブル」を利用。客室の様子や自慢の朝食ブッフェなど、ホテルの魅力を詳しくお伝えします。
また、敷地内にある入浴施設「東京 湯楽城」も利用してみましたので、あわせてご紹介します。
基本情報
「ラディソン成田」は、成田市の隣、千葉県富里市にあるホテル。成田空港の南西5kmに位置し、エアポートホテルとしても機能する準都市型リゾートホテルだ。
名称 | ラディソン成田 |
Radisson Narita | |
所在地 | 千葉県富里市七栄650-35 |
電話番号 | 0476-93-1234 |
NRT.information@radisson.com |
客室数は490室(ダブル260室、ツイン200室、ジュニアスイート2室、その他28室)。チェックイン時刻は15:00、チェックアウト時刻は11:00。
表1 客室一覧
名称 | 面積 | ベッドサイズ 数 |
---|---|---|
スタンダードダブル | 23㎡ | 152×200cm 1台 |
スタンダードツイン | 25㎡ | 113×200cm 2台 |
プレミアムスタンダードダブル | 23㎡ | 152×200cm 1台 |
プレミアムスタンダードツイン | 25㎡ | 113×200cm 2台 |
デラックスダブル | 25㎡ | 152×203cm 1台 |
ビジネスクラスルーム | 30㎡ | 193×203cm 1台 |
ジュニアスイート | 52㎡ | 193×203cm 1台 |
主な建物は地上11階建ての「タワーウイング」と、地上3階建ての「ガーデンウィング」がある。両建物は連絡通路で繋がっている。
「タワーウイング」は1階にロビー、フロントデスク、レストラン等のホテル主要施設がある。2・3階は婚礼・宴会・会議場、4階以上が客室。
「ガーデンウィング」は1階にジム、サウナ等があり、2階は宴会・会議場、客室は1~3階にある。ここから更に屋内プール棟に繋がっている。
建物の外には庭園と屋外プールがある。今回は利用していないので詳細は不明。
「ラディソン」はアメリカのホテルチェーン「カールソン・レジドール・ホテルズ」の高級ホテルブランド。2020年2月現在、日本での展開はこの成田のみである。
エントランス・ロビー
東京駅からJR高速バスで約70分、所定よりやや早くホテルに到着した。バスはホテル車寄せに停車し、降りた目の前がエントランス。
バス到着時にはドアマンが出てきてくれる。大きな荷物があれば荷物カートで運んでくれるであろう。
ロビーは茶色系でまとめられた比較的シンプルな内装。米系ホテルらしい華美な装飾を省いた合理的なスタイルだ。奥にある中国家具が良いアクセントになっている。
チェックイン
フロントデスクでチェックインする。案内係が出迎え、空いたカウンターを案内してくれる。
女性のフロントスタッフが対応してくれた。笑顔の接客で好印象。レストランや入浴施設の説明を受ける。空港行きのシャトルバスを利用するかどうか尋ねられたので、利用する旨伝えると時刻表を示して何時のバスに乗るか聞かれた。飛行機に乗る予定は無いので何時でも良いのだが、とりあえず9:40に乗りたいと答えておく。
名前が印字された封筒に、カードキーや施設案内、朝食券、入浴施設の利用券がまとめて入れられ手渡される。これで手続き終了、早速客室に向かう。
客室
アサインされた部屋はタワー棟11階の1123号室。エレベーターを降りるとアクアブルーの鮮やかなカーペットが目に飛び込む。
客室内は一転して赤系のカーペット。インテリアも暖色系の落ち着いた色合いで落ち着ける。客室面積は23㎡で、このクラスのホテルでは標準的な広さ。
デザインのコンセプトは「和モダン」とのこと。
全体的な設備の古さは否めないが、電源コード類や冷蔵庫は目立たないように処理されており、この点はさすがだ。清掃状態も良好。気になる臭いもない。
クローゼット・荷物置き場
室内に入りすぐ右手にオープンタイプのクローゼットがある。ハンガーの数は12本。チェスト内に使い捨てスリッパとシューケアグッズが入っている。
テレビ台の横に荷物置き場がある。大型のスーツケースが収納できる。
テーブル・デスク
テレビ台と連続するサイドボードテーブルは、茶器以外は余計なものが無く広々として使いやすい。開業当初から使用しているのか、やや年季が入っている。
テーブル脇にはひじ掛け付きのソファチェアが1脚ある。
ライティングデスクはサイドボードテーブルとは別にある。電源があり、PC作業などに便利。右側細長い部分はシェルフになっている。
ベッド
ベッドは152×200cmのミドルサイズダブルベッド。ブランドは中国の大手ベッドメーカー喜臨門家具の「Fancymoon」。ベッドスローは省略され寝間着の浴衣が置かれており、既に”寝る”体制となっていた。
枕は1種類のみ。スタンディング方式で並べられている。硬くもなく柔らかすぎでもなく。トスピローは省略。なお、予備の枕と毛布がクローゼットにある。
ベッドサイドテーブルは小振り。左側には照明と空調のスイッチ、右側には電話機とラジオも聴ける多機能時計が設置されている。
ベッド両サイドには明るめの読書灯が付けられている。ベッド周辺にコンセントやUSBポートが無いのが残念な所。
茶器・ミニバー
茶器はテーブル上のトレイの中にまとめられている。ポットの中には既に水が入っており、すぐ横に電源コンセントもある。ペットボトルの水とお茶・コーヒー類は無料。
冷蔵庫はテーブル下の扉の中にある。中は空でミニバーは無い。
テレビ
テレビは三菱製(24インチ?)が1台。ベッドの正面にあり寝ながらテレビを見ることができる。また、DVDプレイヤーも備えられている。
テレビのチャンネルは地上波とBS放送が楽しめる。なぜかチャンネル104~117と放送大学のみ視聴できなかった。
空調
空調は全館集中方式。スイッチで入り切りと3段階の風量が選べるが、冷房か暖房か、及び設定温度等は個別に変更できない。客室に加湿器は備えられていないが、貸出可能かどうかは不明。
空調吹き出し口は天井折り上げ部分にある。
バスルーム
バスルームは洗面台、トイレ同室のINAX製3点ハーフユニット。
洗面台はオーソドックスなアンダーカウンター式。隣にINAXのシャワートイレがある。
バスは浴槽付き。シャワーはハンドシャワーで、湯温調節が面倒臭い2ハンドル混合水栓。
バスアメニティは持ち帰り可能なミニボトル。シャンプーはダイトの「プレガリア」、コンディショナーはJTB商事の「オーランジュ ロゼ」、ボディローションと洗顔石鹸はオランダのコスメブランド「リチュアルズ」。
ドライヤーは壁面固定式。なお、バスルーム内に電話機やテレビは設置されていない。
インフォメーション
ホテルの施設・サービス案内や約款が綴られたインフォメーションブックはライティングデスクの上に備えられている。立派なレザー製のバインダーだ。
ステーショナリー
レターセットはバインダーの中に収納されている。B5サイズの便せんと洋形4号の封筒、ポストカードの3種類。状態も良いのでホテルのステーショナリーコレクターとしては嬉しい。
電話機の横にはメモパッドがある。こちらは”ラディソン成田”の印字が無いので、チェーン汎用品をそのまま使用していると思われる。
ルームサービス
24時間のルームサービスが行われている(公式サイト上では営業時間が6:00~22:30までとなっている)。メニューは時間帯により異なるが、非常に充実しており素晴らしい。
6:00~11:00はブレックファストメニュー。ホットミールの無いコンチネンタルスタイルからボリュームのあるアメリカンスタイルまで、お腹の具合と値段により選択できる。また、和食のセットもある。
9:00~22:30はオールデイダイニングメニュー。前菜、スープ、パスタ、サンドイッチ、中華料理からサーロインステーキまで、多彩なメニューをアラカルトで注文できる。
22:30~翌6:00はナイトメニュー。こちらは軽食のみ。
ランドリーサービス
有料のランドリーサービスがある。ランドリーバッグと注文票はクローゼットのチェスト内。注文票は一般客用の他にデルタ航空乗務員専用のものがある。また、クローゼット内にはアイロンとアイロン台が備えられている。
眺望
今回宿泊した1123号室は南東方向に窓がある。この方向は高い山や建物が無いので、左右に地平線が広がっている。
レストラン・バー
館内の料飲施設は3ヶ所ある。
表2 料飲施設一覧
店舗名 | ジャンル | 営業時間 |
---|---|---|
カリフォルニアレストラン | 多国籍レストラン | 6:00-22:30 |
スーパー スターズ | ダイニングバー | 17:00-24:00 |
ビスタラウンジ | カフェラウンジ | 6:00-22:30 |
カリフォルニアレストラン
1階には、ホテルのメインダイニング「カリフォルニアレストラン」がある。
軽めの夕食をとるため入店してみた。とりあえずメニューを見せてもらう。
ディナータイムブッフェの時間帯であるが、アラカルトでの食事も可能。ブッフェ客と区別するため、一番端の席に案内される。
メニューはルームサービスとほぼ一緒か。洋食、中華、和食の料理がある。チャーハンを頂くことにする。
スーパー スターズ
同じく1階に、スポーツがコンセプトのバー、「スーパースターズ」がある。
後述する湯楽城の湯上りに冷たいビールを飲むため入店してみた。
店内にはスポーツ選手の写真や用具などが種目を問わず飾られている。なかなかお洒落な内装だ。モニターが数台設置され、様々なスポーツの試合映像が放映されている。
店内は欧米系の宿泊客が多い。エアラインの乗務員であろうか。お酒は大丈夫??
メニューは酒類の他にソフトドリンクもある。ここで軽い食事をとることも可能。
店内は男性のバーテンダーが一人で切り盛りしていた。忙しそうではあったが、こちらの入店にはちゃんと気付いてくれている。
一番搾りをグラスで頂いた。おつまみはフライドポテト。
ビスタラウンジ
ロビーフロアの一角、中庭が望める場所にはロビーラウンジ「ビスタラウンジ」がある。こちらは入店していないが、デイタイムはホテルオリジナルのアフタヌーンティーを楽しむことができる。
ショップ
1階ロビーフロアにはコンビニエンスストア「生活彩家」がある。営業時間は7:00~23:00。取り扱い商品は弁当や菓子類、ドリンクから雑貨、土産物まで。普通のコンビニとほぼ一緒。
ジム・プール等
館内にあるジム、プール、サウナは、宿泊客は無料で利用できる。夏季は屋外プールもオープンする。他に、有料だがゴルフ、テニス、卓球、サイクリングを楽しむこともできる。
入浴施設「東京 湯楽城」
ホテル敷地内には、入浴施設「東京 遊楽城」がある。エントランスを出て3分ほど歩くと、派手な噴水とイルミネーションが輝く巨大な建物が現れる。
ここはかつてデルタ航空の機内食工場であった建物。2019年9月にオープンしたばかりであるが、オープン早々に千葉を襲った台風15号により停電の被害を受けてしまった。
館内に入ると、まずはヨーロッパの宮殿のようなバロック様式調のエントランスフロア。靴を下駄箱に収納し、更に中に入ると今度は中国の高級ホテルのようなロビーフロア。派手なインテリアに度肝を抜かれる。
受付で宿泊者無料入浴券を提出すると、下駄箱のカギと引き換えに更衣室のロッカーキーを渡される。続いてタオルカウンターでタオルを借りる。
更衣室で館内衣に着替えるが、外来者は着替えずに更衣室を迂回して浴場に直行することも可能。
更衣室の先には”街”があった。食堂街になっており、和食、中華、甘味処、居酒屋、バーがある。価格もリーズナブルなので、ホテルで食べずにここで食事をとるのも良いかもしれない。
更に進むと、なんと神社まである。まさに何でもありの世界だ。
浴場はオーソドックスな造りだが、露天風呂があるのが良い。残念ながら湯は天然温泉ではない。
浴場から出てロビーに戻る。ロビーの奥には”多目的ホール”があり、大スクリーンでテレビが放映されている。隣接してカプセルルームがあり、ここで宿泊も可能だ。
朝食(ブッフェ)
朝食会場は1階の「カリフォルニアレストラン」。入口で係員に朝食券を渡し席に案内してもらう。
着席すると、コーヒーか紅茶どちらにするか聞かれたので、コーヒーを選択。ポットに入れて持ってきてくれる。
料理は洋食が中心だが、和食と中華もある。エッグステーションでは好きな具材を入れて目の前でオムレツを焼いてもらえる。
★主な料理
-前菜:サラダ、ハム(チキン・ポーク)、スモークサーモン、チーズ
-洋食:オーダーオムレツ、スクランブルエッグ、ソーセージ(チキン・ポーク)、クリスピーベーコン、ベイクドビーンズ、ガーリックポテト、パン数種類
-中華:チャーハン、焼きそば、肉野菜炒め、豆腐野菜炒め、
-和食:ごはん、おかゆ、味噌汁、焼き魚、納豆、生卵、海苔、漬物
-その他:カットフルーツ、ヨーグルト、オートミール、ワッフル、パンケーキ、牛乳、シリアル
食器は普通のリムプレートの他に、ビジネスホテルでよく見かけるようなビュッフェプレートもあり、少量多品種の料理を食べたいときは便利。
どれも美味しい。特に中華は味もしっかりしており、いくらでも食べてしまえるが食べ過ぎには注意。
チェックアウト
チェックアウト時刻は11時なので、朝食後部屋でゆっくりと休むことにする。
すると、フロントから電話が掛かってきた。前日チェックイン時に9:40発空港行きバスに乗ると伝えてあったので、その確認であった。寝過ごして飛行機に乗り遅れたら大変なので、ホテル側も気を遣っている。
11時少し前、軽く片付けて部屋を出る。散らかしたままにすると忘れ物をするので気を付けたい。
フロントデスクでカードキーを出しチェックアウト。すぐに手続き終了。
空港へのシャトルバス
空港行きの無料シャトルバスは11:00発車。しばらくすると車寄せにバスがやってきた。
乗客は10名程度。11:00定刻にホテルを発車する。
空港までは直線距離で5kmだが、A滑走路南端をぐるっと迂回するので、所要時間は20~30分ほどかかる。
航空科学博物館、芝山千代田駅前を通過し、第1ターミナル出発階に11:20到着。バスは2ターミナルに向けて発車していく。
感想
このラディソン成田に宿泊したのは2014年7月以来2度目。前回泊まった時はエアラインクルーや欧米系の旅行者が利用する、異国情緒溢れる高級ホテルという印象であった。
このホテルは1978年に米ノースウェスト航空のホテルとして開業。同社がデルタ航空に吸収された以降はデルタ航空が所有していた。
隣接して機内食工場などがあり、成田を準ハブとするデルタ航空の拠点としての役割を負っていたが、2016年に在日中国人がオーナーの日本企業に売却された。
以後、デルタ航空との関係は薄れ、中国からのインバウンド需要に重点を移しつつあると思われる。前述した「東京 湯楽城」開業はその一環であろう。
今回利用した宿泊プランは、朝食、入浴料込みで6,480円(税・サ込)。春節明けの閑散期で、更に新型コロナウイルスの影響はあるにせよ、正に破格の値段である。
平均室料(ADR)を下げてでも、客室稼働率を上昇させ、客室イールド(RevRAR)を上昇させることはある意味当然であろうが、それに伴うコスト削減圧力が更に増してくるはずだ。
施設の老朽化も否めない。今回利用した客室も、設備は既に時代遅れとなり、柱の傷が目立ち壁のクロス等も一部剥がれてしまっている状態であった。
このままでは2流、3流ホテルに成り下がってしまうのではないかと危惧する。「ラディソン」ブランドの冠が外れるのも時間の問題かもしれない。
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