【2020年1月】登山鉄道とロープウェイでベトナム最高峰ファンシーパン山(3143m)に行く

ベトナム(インドシナ半島)最高峰、標高3,143mの「ファンシーパン山(Phan Xi Păng:番西邦)」の頂上に行きました。高原都市サパの中心部から登山鉄道とロープウェイを乗り継ぐことで、誰でも簡単に登頂することができます。

山頂からの景色はさることながら(今回はガスで何も見えませんでしたが)、登山鉄道やロープウェイからの車窓も必見です。乗り方や運賃も含め、詳しくご紹介します。

基本情報

概要

サパ中心部、教会横の広場近くにあるにあるサパ駅(GA SAPA)からムオンホア登山鉄道に乗車、終点ムオンホア駅(GA MƯỜNG HOA)でロープウェイに乗り換えて稜線上にあるファンシーパン駅(GA FANSIPAN)へ、そこからファンシーパン登山鉄道または徒歩で頂上に行くことができる。

一帯は「サンワールド・ファンシーパン・レジェンド」という名称で観光開発されている。ベトナム大手不動産開発会社「サン・グループ」による運営。

サンワールド・ファンシーパン・レジェンド(英語)

運賃

運賃は下表の通り。サパ駅でファンシーパン登山鉄道を含む全区間往復切符を購入すると、合計で100万ドン(日本円で約4,700円)となる。セット割引は無いので、都度バラで購入してもよい(ファンシーパン登山鉄道は片道利用も可)。

区間 大人運賃 子供運賃
ムオンホア登山鉄道 100,000ドン 100,000ドン
ロープウェイ(往復) 750,000ドン 550,000ドン
ファンシーパン登山鉄道(登り) 70,000ドン 70,000ドン
ファンシーパン登山鉄道(降り) 80,000ドン 80,000ドン
※子供運賃は身長1m~1.4mの人に適用

なお、支払いは現金の他に日本発行の一部クレジットカードも使える(VISAは確認済)。

営業時間

営業時間は曜日により異なる。日曜日~木曜日は7:30から17:00まで、金曜日・土曜日は7:00から18:00まで。

注意点

ロープウェイはかなりの高度感があるので、高いところが苦手な人は注意が必要。また、強風時は運行に支障が出る可能性もあるので時間に余裕を持ちたい。

また、冬の山頂はかなり寒いので防寒対策を忘れずに。

ムオンホア登山鉄道に乗車

サパに到着してまず驚いたのが、広場横にある洋風の巨大な建物の存在。最初、これが登山鉄道の駅舎であるということに気付かなかった。

サパ駅

夜はライトアップされ、非常に煌びやかだ。到着した日は大晦日。広場のステージでは観光客向けのショーが開催された。

夜の広場
夜のサパ駅

元旦の翌日、天気はあまり良くないが登ってみることにした。

最初に乗るムオンホア登山鉄道は2018年に開業したばかりの新しい乗り物。オーストリア、ドッペルマイヤー・ガラベンタ社製のケーブルカー(鋼索鉄道)だ。

駅舎は駅施設の他に、ファッション、土産物等のショップが入居している。入口から入ってすぐ左手に切符売り場がある。

1階切符売り場方向
切符売り場

とりあえずムオンホア登山鉄道とロープウェイの往復切符を購入した。運賃は85万ドン、日本円で約4,000円ほど。ベトナムの物価水準からすれば非常に高価だ。

切符

券面には略号のような表示があり、一般の人にはどの区間で有効な切符なのかわからない。

切符を手に入れたらそのまま奥に進むとムオンホア登山鉄道の改札口に着く。

改札口

改札を抜けるとホーム。アールヌーボー調の装飾が施され、ヨーロッパの古い駅のような雰囲気だ。

ホーム

構造はホーム2面、線路1線の頭端式で、乗車ホームと降車ホームに分かれている。

線路

レール幅はかなり広く、1,435mmの”標準軌”より広い”広軌”と思われる。線路中央には車両を引っ張るためのケーブルが通る。日本でも一般的な交走式鋼索鉄道、いわゆる”Funicular”だが、山頂側だけでなく山麓側にもケーブル(ボトムトーロープ)があるタイプ。

ホームに入り5分ほどで車両が入線してきた。交走式なので車両は2両あるが、こちらは”2号車”。塗色といい車両の外観といい、大昔の京急電車のような感じ。車体長20mとケーブルカーにしては大きな車体である。

2号車

ちなみに下の写真は駅舎の外にあったイラスト看板。こちらはどうみてもインドの電気機関車にしか見えない。

イラスト

降りてきた乗客が全員下車すると、乗車ホーム側のドアが開く。すでに遅い時間帯なので乗客はまばら。観光シーズンの混雑期はこんなものではないだろう。

乗車

車内はレトロ調。ダブルルーフの明かり窓が印象的だ。先頭側の乗務員スペースはロープで仕切られている。

車内の様子
乗務員スペース
車内のメーカーズプレート
山頂方

入線してから5分後に発車。先頭部には監視役のスタッフが乗務している。

トンネルを出ると橋の上を通る。進行左下には少数民族が暮らす「カットカット村」が見える。下から見上げるとよくわかるが、かなり高い所に橋が架かっている。

橋を通過
下から見上げた様子
カットカット村

通常の交走式ケーブルカーとは違い、ケーブルが2本走っているのが分かる。右側の太い方が今乗っている2号車を上から引っ張り上げるケーブル、左側の細い方がこれからすれ違う1号車を下から引っ張るケーブルである。それぞれ山頂側と山麓側で2つの車両と”つるべ状”に繋がっている。

2本のケーブル

やがて小さなトンネルをくぐると、中間の行き違い地点に入る。山頂側から対向の1号車がやってきた。分岐部の構造は一般的なもの。

行き違い地点
分岐部
1号車とすれ違う

行き違い場所を過ぎると山頂駅に向けて勾配がきつくなってくる。左下には美しい棚田が良く見える。

山頂駅に向かう
眺望

きつい勾配を登りきると、山頂駅のムオンホア駅に到着する。

ムオンホア駅到着

乗車時間は約6分。右側の降車ホームに降りる。ホームに柱がある山麓のサパ駅よりも開放的な感じがする。

ムオンホア駅ホーム

製造メーカーと諸元が記載されたプレートが掲出されている。延長1,670m、標高差106m、速度は10m/s(36km/h)で、1時間に2,100人を運べる輸送力を持っている。

プレート

開業間もない駅舎はまだピカピカの状態。今ベトナムにいる、ということを忘れてしまうような空間だ。

出口への通路

ケーブルカーのムオンホア駅とロープウェイのホアンリエン駅は隣接しており、連絡通路で繋がっている。なお、”CABLE CAR”という表記がなされているが、ここでは日本で言う”鋼索鉄道”ではなく”索道”の意味で使われている。

ロープウェイ駅への通路入口

ロープウェイに乗車

エスカレーターでロープウェイ改札階に上がる。このエスカレーターは三菱電機製。

ロープウェイ改札階

せっかくなので、駅構内を散策してみる。

改札階は土産物などのショップがある。下山客の動線に売り場があるので、半強制的に商品を物色させられる。日本の観光地にもよくある構造。

改札階のショップ

駅舎から出るにはエスカレーターで上階に昇らなければならない。中間階にはレストランがある。

駅舎出口への昇り口

駅舎建物を出ると広場になっている。正面には「保安禅寺」という仏教寺院がある。ファンシーパン巡礼者が最初に立ち寄るべきお寺とのこと。

駅舎

保安禅寺

なお、サパ中心部から登山鉄道を使わずにバスやタクシーで来る場合、ここからロープウェイに乗車することになる。

改札階に戻り、ロープウェイ乗り場に向かう。ロープウェイ駅はホアンリエン駅という駅名がつけられている。

ロープウェイ改札口

このロープウェイは2016年に開業した。延長6,292.5m、高低差1,410mで、開業当時は世界最長の索道であった。ちなみに、日本最長の索道は新潟県苗場スキー場にある「ドラゴンドラ」5,481m。

”3Sロープウェイ”と呼ばれる方式で、客車(搬器)を支える2本のロープ(支索)と、引っ張り上げる1本のロープ(曳索)の計3本のロープが使われる構造。堅い言葉で言えば”三線自動循環式普通索道”である。なお、この方式のロープウェイは日本には無い。

ロープウェイ駅構内

時間が遅く天気も良くないためか、非常に空いている。順番を待つことなく乗車することができた。

ロープウェイ乗車

このロープウェイのメーカーは、先ほど乗ったムオンホア登山鉄道と同じくドッペルマイヤー・ガラベンタ社。速度は8.0m/sで、標高約3,000mの山頂直下まで僅か15分で行くことができる。搬器の定員は35人で、1時間あたり最大2,000人の輸送能力を持つ。

ホアンリエン駅を出るといきなり絶景が広がる。眼下には美しい棚田の風景を望める。

絶景の棚田風景

3Sロープウェイの特徴である3本のロープが良く見える。外側の2本が重さを支える支索、真ん中の1本が引っ張り上げる曳索だ。

3本のロープ

乗車して5分後にようやく最初の支柱を通過する。支柱間のスパンもかなり長い。それにしても非常に険しい場所に支柱が建てられている。よくこんな所に建設できたものだ。

最初の支柱
2番目の支柱

標高が上がるにつれて、ガスが濃くなってくる。搬器を横切る風も強くなってきた。

ガスが濃くなってきた

3番目の支柱を通過すると、深い谷の上空を渡る。谷間を通る風が強く、ビュービューと搬器で風が切れる音が響く。高度感もあるのでスリル満載だ。

深い谷を渡る

かなり風が強いが、搬器が大きく揺すられることはない。さすが風に強いとされる3Sロープウェイである。

稜線に近づくと濃いガスに包まれてしまう。

もうすぐ終点

終点のファンシーパン駅に到着した。所要時間は22分であった。やはり風が強いので速度を落として運転しているのかもしれない。

ファンシーパン駅到着

駅舎内には土産物屋とレストランがあり賑やか。

駅舎内のショップ
レストラン

ファンシーパン山頂へ

さて、ここから頂上へは階段を使って徒歩で行くこともできるが、標高3000m超で酸素濃度も薄いため無理は禁物。ファンシーパン登山鉄道で行くことにする。

切符売場で往復券を購入。15万ドンを追加で支払う。合計100万ドンなのでサパ駅から通しで切符を購入しても値段は同じ。

山頂に向かう階段
途中の寺
登山鉄道駅舎

晴れていれば絶景が望めるはずだが見事に何も見えない。冬のサパはこのような天候が多いのであろう。

ファンシーパン登山鉄道はケーブルカー(鋼索鉄道)だ。最初に乗ったムオンホア登山鉄道とは異なり、こちらは1両の車両が行ったり来たりする単線式。

ファンシーパン登山鉄道線路

ホームに入り2分ほど待つと赤い車両が下ってきた。

車両

車両はムオンホア登山鉄道に比べるとかなり小振り。客室内は真ん中で上下に仕切られている。

車内の様子
発車

僅か2分ほどで山頂駅に到着する。

山頂駅から一登りすると、3,143mのファンシーパン頂上に到達する。

ファンシーパン頂上

かなり寒い上に天気も悪いが、観光客はそれなりに多い。ほとんどがベトナム人であろうか。ベトナムにおける労働者の平均月収は約500万ドンとのことなので、ここに来るまでに月収の5分の1ものお金がかかる計算。お金持ちでないと来るのはちょっと厳しそう。

観光客

山頂駅改札横にカフェがあるので一休み。カプチーノ一杯12万5千ドン也。

カフェ入口
メニュー

店内の様子
カプチーノ

ガスが晴れるのを期待してしばらく待ってみるがその気配が無い。あきらめて下山することにした。

感想

サパ中心部から登山鉄道が開業したことにより、アクセスが格段に良くなったファンシーパン。かつては遭難の恐れもある数日間の厳しい登山を強いられたが、今では1時間以内で到達可能だ。トータルでも3~4時間あれば十分なので、サパ旅行の際はぜひ訪れることをおすすめしたい。

今回は残念ながら頂上からの眺望はゼロであったが、とても東南アジアとは思えない”寒さ”を体験してみるのも悪くない。運が良ければ雪が降ることも。山頂のカフェで暖かいコーヒーを飲むのも至福のひと時。ガスが晴れるのをひたすら祈りながら。

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