【2019年12月】鉄道乗り継ぎ台湾一周の旅(その2)

列車を乗り継いで台湾を一周しました。前回記事(その1)に引き続き旅の模様をお伝えします。

今回は旅のハイライト、南廻線の旧型客車列車に乗車です。

なお、2019年12月20日、屏東線潮州-枋寮間電化に伴い大規模なダイヤ改正が行われました。本記事の時刻等は実際に乗車した旧ダイヤにて記載しております。

(その1から続き)

【2019年12月】鉄道乗り継ぎ台湾一周の旅(その1)

乗車データ

乗車区間 台南-潮州 潮州-枋寮 枋寮-台東
事業者 台湾鉄路管理局 台湾鉄路管理局 台湾鉄路管理局
列車番号 区間3141 自強371 普快3671
車両形式 EMU500 DR3100 SP32550
乗車時間 1時間48分 23分 2時間24分
運賃 109NTD 162NTD

台南駅の様子

昨夜は台南駅前の「台南大飯店」に宿泊。駅からは地下道を通り徒歩3分程度と立地は非常に良い。

台南大酒店

台南駅前には市内バスの乗り場がある。掲示されている路線図を見ると緻密な路線網があることが分かる。

なお、台南市では現在、モノレールによる軌道系交通を整備する計画がある。

台南駅前バス乗り場
台南市内バス路線図

台南駅舎は日本統治時代の1936年に建設されたもの。現在は国の文化財に指定されている。

台南駅

当駅は近い将来地下化される予定だが、駅舎は現在、文化財として保存・利用するための改装工事が行われている。

駅舎改修の工事標識

駅舎内はノスタルジックな雰囲気。古いものと新しいものが混ざり混沌としている。

駅舎内の様子

改札機にIC乗車券”悠遊カード”をタッチして入場する。IC乗車券は台鉄全線で利用可能、非常に便利だ。

構造体が古レールのホーム上家。これも日本統治時代からのものであろう。

ホームの様子

このような雰囲気の駅が地下化されるのはやや残念な感もあるが、時代の流れなので致し方ない。

区間車で台南から潮州へ

8:18発の区間車3141列車で潮州に向かう。今回の旅のハイライトである”旧客列車”普快3671に接続する列車は後続の8:53発自強371列車だが、あいにく満席であったため、仕方なく途中までは通勤電車の旅を楽しむこととなった。

定刻通り3141列車が到着した。韓国製のEMU500型通勤電車だ。

区間車3141到着

今日は通勤通学客が少ない土曜日なので、運よく座ることができた。残念ながらロングシート車なので車窓を楽しむには適さないが。

台南を定刻に発車。複線の西部幹線を南下する。駅間距離が長い区間は最高速度110km/hで快走していく。

3駅目の中州で支線の沙崙線を分岐する。台湾高速鉄路(高鉄)のアクセス路線として2011年に開業した新しい路線である。当駅の高雄方で沙崙上り線が西部幹線をオーバークロスするため、この線のみホームがやや高い位置にある。

沙崙線を分岐

8:45、岡山に定時到着。すでに高雄市に入っている。ここで大勢の乗客が乗車してきた。

岡山駅構内
岡山駅ホーム

列車は高鉄との乗換駅、新左営に到着。駅舎は高鉄駅と一体であるが、高鉄側の駅名は”左営”。高鉄と台鉄は全く離れた場所に同名駅が存在する例が多数あるが、同一場所なのに駅名が異なるとはこれ如何に。

新左営を発車すると地下区間に入る。西部幹線の高雄市街区間は2018年10月に地下化されたばかり。

9:18、高雄に定時到着。昨年6月に訪れた時は地上駅であったが様変わりしてしまった。

地下化された高雄駅

高雄から枋寮までは西部幹線の一部を構成する屏東線の区間となる。ちなみに西部幹線は基隆-枋寮間の総称であり、縦貫線、台中線、屏東線とその支線から成り立っている。

高雄で多数の乗客が下車。高雄を出て4駅目の鳳山を発車すると、線路は再び地上区間となる。

九曲堂駅

九曲堂を発車するとすぐに大きな川を渡る。台湾第二の大河、高屏渓だ。複線の橋の下流側には使われていない古いトラス橋が架かっている。川の中ほどで途切れてしまっているこの橋は、日本統治時代の1914年に完成した「下淡水渓鉄橋」である。

1987年に現在の橋が完成するまで列車が走り抜けていたこの古橋、国の文化財に指定されているが、2005年から2009年にかけての度重なる台風被害によりこのような姿になってしまったとのこと。

下淡水渓鉄橋

9:46、屏東線内最大の駅、屏東に到着した。ここで半分以上の乗客が下車してしまい、閑散とした車内はローカル線の雰囲気。

屏東駅に到着

屏東から潮州までは高架区間となる。主に農村地帯を走るこのような区間での連続立体交差化は珍しいのではないか。

しばらくは畑の中の高架線路を走る。ひょろっとした細い幹のヤシはビンロウの木であろうか。よく見ると林の中にバナナが混植されている様子。

帰来駅
西勢-竹田間

10:06、当列車の終着駅、潮州に定時到着。ここから枋寮まで1区間だけ、満席で予約が取れなかった自強371列車に乗車する。

潮州に到着
乗り換えのため下車

自強号で潮州から枋寮へ

371列車は2分遅れとの表示。少し時間があるので一旦出場し再度悠遊カードで入場する。

発車標

なお、自強号は日本の特急列車に相当する台鉄最優等列車であるが、悠遊カード等のIC乗車券利用の場合は、70km以内の距離であれば区間車と同じ運賃で乗車できる(太魯閣号・普悠瑪号等一部列車を除く)。ただし、立席(無座)扱いなので座れる保証はない。

10:13、やや遅れて371列車が到着した。当駅からの乗車客も多い。

371列車到着

車両は日本製のディーゼルカー。外観は日本の鉄道車両そのもの。車内の雰囲気も日本国鉄の特急車両に近い。

満席の371列車

やはり車内は満席であった。土曜日なのでほとんどが観光客であろう。1区間のみの乗車なのでデッキで立つことにする。

10:14、1分遅れで発車。潮州からは単線区間となる。

列車は所々で徐行運転となる。今回の旅の直後、12月20日に潮州-枋寮間が電化開業となったが、その工事の影響であろうか。

10:37、3分遅れで枋寮に到着。ここからいよいよハイライトの南廻線普快3671列車の旅がスタートする。

枋寮到着

普快3671に乗車

枋寮-大武間

371列車から降りた大勢の乗客がダッシュして3671列車に乗り換える光景が。鄙びたローカル線の古い客車列車、ガラガラの車内を想像していたが意外であった。台湾はアジアの中では日本に次いで鉄道趣味が盛んな国。いわゆる”乗り鉄”人口も多いのであろう。

負けじと急ぎ足で地下道を通り2A番線から3番線に移動する。青い3両編成の客車は既に停車中。

普快3671列車に乗り換え

運良く海が見える進行右側の席を確保できた。車内は満席ではなく、山側はやや空席がある状態。

海側の席を確保

今回乗車した車両は回転クロスシート。元々優等列車用の客車として使われていたため、見た目とは違い座り心地も上々だ。

座席

10:42、先行した371列車の閉塞開通待ちであろうか、定刻より2分ほど遅れて発車。既に電化設備が完成している枋寮を後にする。

枋寮を発車

台湾南部といえども12月はやや肌寒い季節であるが、窓を全開にして汽車旅を楽しむ。日本ではこのような”贅沢”な旅は中々できない。

先頭のディーゼル機関車はアメリカ製。アメロコらしいダイナミックなエンジンの咆哮がこだまする。

枋寮-台東間の南廻線は1991年に全線開通した比較的新しい路線。幹線の中では最後の非電化区間となるが、現在電化工事中であり、近い将来電車が走ることであろう。

電化工事中
加祿駅

最初の停車駅、加祿を発車すると、いよいよ右手に海が見えてくる。

加祿-内獅間
内獅駅

ホームが新しくなった内獅を発車すると、列車は徐々に高度を上げていく。台湾中央山脈を越える台鉄屈指の山越え区間に入る。

内獅-枋山間
南シナ海を眼下に
枋山-枋野間

山越え区間はトンネルが連続する。機関車のエンジン音が鳴り響く。車内は暗くなり夜行列車のようだ。

トンネル内

列車は秘境駅枋野に停車。時刻表上は通過の扱いであるが、一般旅客の乗降を行わない運転停車である。

このような小駅でも運転担当職員が配置され、列車扱いが行われる。

枋野駅
枋野-中央信号場間
中央信号場

山間の中央信号場(號誌站)を過ぎると長大トンネルに入る。台湾中央山脈を貫く全長8,070mの「中央トンネル」で、台鉄では2番目に長いトンネル。ここは当線区内唯一の複線区間である。

古荘信号場

古荘信号場を過ぎると再び海が見えてくる。こちらは先程まで見えた南シナ海ではなく、反対側のフィリピン海である。

大武渓を渡ると久々の停車駅大武に到着。

大武渓
大武駅

列車編成観察

大武では後続の莒光751を先行させるため約15分ほど停車する。停車時間は撮影タイム。多くの乗客がホームで記念撮影を行っている。

ホームで記念撮影

列車編成を観察してみる。先頭の機関車はアメリカEMD製のR100型123号。復刻塗装の青色に塗られている。

R100型123号機関車
後方から

3両ある客車のうち、1両目は「35SPK32757」。1970年日本製の客車。”往台東”と書かれた行先表示板(サボ)が掲出されている。

1両目の客車

筆者が乗車している2両目は「35SP32578」。1968年日本製の客車。この編成の中では最古参の車両だ。

2両目の客車
手動ドアのデッキ
2両目客室

この前2両の客車は、かつての優等列車「対号特快」用として導入されたもの。車体の形状等は日本の旧型客車に通ずるものがある。

3両目の客車は「40TPK32217」。1970年インド製の通勤用客車である。デッキ付き回転クロスシートの前2両とは異なり、セミクロスシートで両開きの自動扉を装備している。

3両目の客車(知本駅にて撮影)

やがて751列車が到着。すぐに台東方面に向けて発車していった。

大武-台東間

11:43、若干遅れて当列車も大武を発車。短いトンネルを抜けると車窓に大海原が広がる。

大武-瀧渓間

大武から知本までは海沿いを走るが、トンネル区間も多い。この南廻線は新しい路線だけあり線形が非常に良い。列車は80km/h以上のスピードで疾走する。

瀧渓駅
列車の窓から眺める海

海が見える駅金崙は、巨大な道路橋ができてしまいやや残念。

金崙駅

各駅のホームは近代的に改装されている。電化に備えて大々的なテコ入れを行っているのであろう。

太麻里駅
太麻里-知本間

デッキのドアは開いたままでもお構いなし。これぞ”旧客”だ。

デッキから

海とは反対側の進行左側(山側)の景色も捨てたものではない。

山側

12:33、知本に到着した。当駅は南廻線の中間駅では最大の駅。古くからの温泉地、知本温泉の最寄り駅である。

ここで大勢の観光客が下車した。今日は温泉宿で宿泊だろうか。

知本駅に到着
観光客が下車

知本で15分停車。ここでもホームに下りて撮影タイムとなる。

乗車したときから何となく違和感を感じていたが、特に2両目の車両は海側にやや傾いているようにみえる。乗客が片方に集中してしまうので、荷重のバランスが悪く台車のバネがヘタってしまったのであろうか。

2両目の車両が傾いている

12:50、定刻より2分送れて知本発車。自動ドアが装備されている3両目で車掌さんのドア扱いを見学する。

車掌のドア扱い

知本からは電化区間となる。台北方面から花蓮経由で電車特急「太魯閣号」が乗り入れてくる区間だ。ここから終点の台東までは内陸部を走るため海はほとんど見えない。

知本-康楽間

康楽駅

右手車窓に台東の町並みが見えてくると終点は近い。

台東駅の場内信号機(進站號誌機)

13:06、1分遅れで台東に到着した。

台東駅に到着
普悠瑪号と対面

※注意点
窓から大きく手や頭を出すと大変危険です。また、デッキの手動ドアから身を乗り出すと転落する危険があります。本記事の写真は細心の注意を払って撮影しております。

(その3に続く)

【2019年12月】鉄道乗り継ぎ台湾一周の旅(その3)

関連リンク

台湾鉄路管理局(日本語ページ)

鉄道コム

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