【2019年8月】キハ47で行く 羽越本線海を見ながら各駅停車の旅

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海が見える鉄道路線として名高い羽越本線。今回は、引退間近の国鉄型気動車”キハ47”形で、酒田から村上まで各駅停車の旅を楽しみました。

乗ることができるのもあとわずか、昔懐かしい国鉄列車の旅の様子をお伝えします。

基本情報

羽越本線は、新潟県の新津と秋田を結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線。関西、北陸方面と東北、北海道方面を結ぶ、”日本海縦貫線”の一部を構成する動脈だ。

ほぼ全区間を日本海沿いに走り、特に、今回紹介する村上-酒田間は、国の名勝に指定されている「笹川流れ」をはじめとした、海を眺める絶景区間として名高い。

この区間は、新潟と酒田・秋田を結ぶ特急「いなほ」号や週末を中心に運転される観光列車「きらきらうえつ」号といった列車が便利だが、景色をしっかりと堪能するためには各駅停車の旅がお勧めだ。

一部の列車には、今や希少となった国鉄型気動車が使用されており、昔ながらの国鉄列車の旅の雰囲気を味わうことができる。

乗車体験記

庄内平野の車窓

今回乗車した列車は、酒田12:50発826D村上行普通列車。市内散策後、駅に戻ってきたのは12:30すぎ。既に3番線に列車は停車していた。

乗り込む前に、駅構内にある「清川屋」さんの売店でばら売りのお菓子を数点購入する。各地の銘菓を頂くのも旅の楽しみの一つ。

車両はキハ47形2両編成。JR東日本新潟支社所属の気動車で、白と青をベースに赤いラインが入る、いわゆる「新潟色」といわれる塗色をまとっている。

いわゆる”サボ”と呼ばれる行先表示板を使用する列車も希少だ。

お盆の連休に入っているためか乗客は少なく、余裕で海側ボックス席を占領する。首都圏からの入り込み帰省客の動きとは逆行する方向のためであろう。もちろん沿線の学生は休みである。

車内の内装は、冷房装置が取り付けられた以外は国鉄時代からほとんど変わっていない様子。青いモケットのクロスシートが懐かしい。

12:50、定時発車。頑丈な重い車体がゆっくりと動き出す。なお、エンジンはオリジナルのものから、やや出力がアップされたアメリカ・カミンズ社製のものに換装されている。

また、この列車は車掌が乗務している。昨今の2両編成以下のローカル列車は、運転士のみ乗務する”ワンマン”列車であることが多いが、この車両はワンマン用設備が装備されていないので必然的に”ツーマン”列車となる。

列車は田んぼが広がる庄内平野のど真ん中を快走する。4駅目の余目で、先ほど乗ってきた陸羽西線と別れて鶴岡に向かう。

進行左手には出羽三山の一つ、名峰月山が見えるはずだか、あいにく雲の中に隠れてしまっていた。

13:25、鶴岡に定時到着。ここで多くの乗客が入れ替わる。乗車客の方が多いので、車内は適度に混雑してくる。

鶴岡は庄内藩の城下町として栄えた街。酒田に次いで庄内地方2番目に人口が多い都市だ。

次の羽前大山には、駅前に深い三角の長屋根が特徴的な米倉庫が見える。かつてはここから「庄内米」を貨車に積み込み、全国各地に発送したのであろう。

羽前水沢は専用線の貨物取扱駅であるが、現在はトラック代行輸送に切り替えられてしまっている。構内には鉄道コンテナが並んでいるが、線路は錆びついており、貨車はいない。

日本海の車窓

羽前水沢を出て、トンネルを抜けると三瀬に到着。いよいよここから海沿いのハイライト区間へと入っていく。

小波渡、五十川と小さな集落にある無人駅に停まっていく。海の近くにある雰囲気が良い小駅。こういう駅をゆっくり観察できるのも各駅停車の醍醐味。

塩俵岩、立岩といった特徴的な岩を見ながら列車は進む。

14:01あつみ温泉に到着。有人(業務委託)駅で、特急列車と豪華クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」の停車駅になっている。名前になっている「あつみ温泉」は約1300年前開湯と伝えられる歴史のある湯治場。ここで秋田行特急いなほ5号とすれ違う。

ここから単線区間に入る。羽越本線は特急列車が走る幹線でありながら、所々に単線区間が残ってしまっている。国鉄時代には徐々に複線化がすすめられていたが赤字により建設中断。あつみ温泉を出て小さな鉄橋を渡った先に、新しく作られたトンネルが使われること無く放置されているのが見える。

鼠ヶ関は、山形県最後の駅。構内の新津方には新潟県との県境が通っている。

新潟県に入ると、海岸は砂浜が多くなる。あちこちに海水浴場が設けられ、家族連れで大賑わいだ。

次の府屋は新潟県側最初の駅。有人(業務委託)駅で特急の停車駅。ホームの目の前が海だ。

このあたりから線路が一層海に近くなる。遠くに見える島は「粟島」。

越後寒川から、いよいよ奇岩が続く名勝「笹川流れ」の区間になる。

桑川は、道の駅「道の駅笹川流れ・夕日会館」が併設されている。日本海に沈む夕日が美しい所。ここで海水浴客とみられる多数の乗車客があった。

桑川を出ると海岸は穏やかになる。太陽の光に輝く海原が美しい。

間島を発車すると、次は終点の村上。海と別れを告げ、市街地へと入っていく。

15:00、列車は村上2番線に定時到着。多くの乗客はここから新潟方面に向かう。ここからは直流電化区間、新鋭のE129系直流電車に乗り換えて新潟に向かうことにする。

感想

いままで日本の全鉄道路線の9割以上を乗り潰したが、筆者個人的には、ここは全国屈指の絶景区間であると思う。特急列車で駆け抜けてしまうのはあまりにももったいないので、ぜひとも鈍行列車の旅を楽しんでいただきたい。

今回乗車した国鉄型気動車は、今年度2019年度中には、新鋭の”電気式気動車”GV-E400系に置き換えられるとの報道がなされている。絶景区間を国鉄車両で堪能できるのは残りわずかな時間となってしまった。

興味のある方は、できるだけ早いタイミングでの乗車をお勧めする。

関連リンク

東日本旅客鉄道株式会社

鉄道コム

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