2019年11月1日に開設された、深圳航空の名古屋-無錫線に搭乗しました。日本ではマイナーなイメージがある中国の航空会社ですが、近年日本路線が拡充されつつあります。チェックインの様子や機内食など、実際に搭乗した時の模様を詳しくご紹介します。
フライトデータ
項目 | フライト |
---|---|
航空会社 | 深圳航空(Shenzhen Airlines) |
便名 | ZH8060 |
発地 | 中部国際空港(NGO) |
着地 | 蘇南碩放国際空港(WUX) |
機種 | B737-800 |
機体記号 | B-1936 |
出発時刻 | 予定17:30 実際17:50 |
到着時刻 | 予定19:40 実際20:08 |
所要時間 | 3時間18分 |
搭乗クラス | エコノミー |
座席番号 | 4F |
はじめに
深圳航空は、中国広東省の深圳に本拠地を置く中国国際航空の子会社。深圳、広州、瀋陽、無錫などをハブ・準ハブ空港として中国全土に路線網がある。
国際線は日本、韓国、台湾、東南アジア各国に路線を伸ばしている。日本には成田、関西、中部、新千歳に就航。ここ最近は中国の地方都市とを結ぶ路線に力を入れており、2019年10月には関西-南昌線、同11月には中部・新千歳-無錫線、同12月には中部-南通線(復活)を相次いで開設した。
親会社の中国国際航空と同じく、航空連合「スターアライアンス」(略称”スタアラ”)に加盟している。このため、同じスタアラ加盟のキャリアとコードシェアを行っている便もある。
今回搭乗した中部-無錫線は1便/日(デイリー)の運航。なお、同社の他に吉祥航空が1便/日(デイリー)で運航している。
チェックイン
中部国際空港”セントレア”第1ターミナルに到着したのは13:40。年末年始の出国・帰省ラッシュのため、出発ロビーは混んでいるかと思ったが、普段と変わらない印象。
なお、一部を除いたLCCは、2019年9月に開業した第2ターミナル利用なので間違えないよう注意が必要。
出発案内板を見ると、これから乗るZH8060便は出発2時間前の15:30にGカウンターで搭乗手続き開始と表示されている。少し早く着きすぎてしまったので2時間近く時間をつぶさないといけない。
軽い食事などで1時間つぶして、再度案内板を見てみる。ZH8060便の状況には変化が無いが、16:30に出発する南通行きZH8054便は14:30からFカウンターで搭乗手続きが開始されていた。
どんな感じなのか偵察のために、Fカウンターに行ってみることにする。
案の定、Fカウンターは長蛇の列になっていた。これに並ぶと30分以上はかかるであろう。一番奥の12番は優先カウンター。ビジネスクラスとスタアラゴールドメンバーはこちらを使えるが、オンラインチェックインの専用カウンターは無い様子。
さすがに優先カウンターは空いていた。ものの数分で手続き完了するだろう。やはりこういう場面でスタアラゴールドの威力が発揮される。
カウンター上のモニター表示は、南通行きと特定されているわけではない。もしかしたら無錫行きもチェックインができるのではないかと思い、再度案内板の方に戻ってみる。
電光案内板の表示は変わらずであったが、Fカウンター列の最後尾付近に下の写真の手書き看板が出ていた。
早速、優先カウンターに戻ってチェックイン可能かと聞いてみた。はじめはエコノミーの列に並んで下さいと言われたが、スタアラゴールドメンバーであることを申し出ると、ここでOKとのこと。
パスポートとANAスーパーフライヤーズカードを提示し、5分ほどで手続き完了。事前にオンラインチェックインで座席指定しておいたが、その通りの席で搭乗券が発券された。
ラウンジ招待券ももらえた。中国国際航空と同じく、JALのサクララウンジが指定される。深圳航空も当空港での地上(グラハン)業務はJAL系の企業が請け負っているので、このような形になるのであろう。
すぐに保安検査場に向かう。年末の出国ラッシュで少し混雑していると思ったが、拍子抜けするほど空いていた。
10分ちょっとで出国終了。やはりピークの時間帯が過ぎているためか、免税店が並ぶ出国後エリアはやや閑散としている。
さくらラウンジの様子
指定されたサクララウンジに向かう。同じ2階にはスタアララウンジがあり、もちろんスタアラゴールドメンバーはこちらも利用可能だ。
入口には利用できる航空会社の表示がある。JALと同じ航空連合「ワンワールド」のキャリアがあるのは当然だが、中国南方航空を除けば、どちらかというとANAと縁が深いキャリアばかり。
室内はやや混雑していた。16時台にキャセイパシフィックが2便続くので、その搭乗客であろうか。
セントレアのサクララウンジ限定の、CoCo壱番屋特製キーマカレーを頂く。
16:35発の台北経由香港行きキャセイ便が搭乗開始となると、室内はガラガラになってしまった。
タブレット端末の充電も兼ねて1時間半ほどお世話になり、ラウンジを後にする。
搭乗
機内へ
搭乗開始時刻17:00の5分前に22番ゲート到着。まだ搭乗が開始される雰囲気は無い。
ゲートは優先搭乗口とエコノミー一般搭乗口が明確に分けられている。オペレーションはしっかりしている印象。
17:00となったが搭乗開始とならない。しばらくすると、17:20搭乗開始との案内アナウンスがあった。
17:18搭乗開始。優先搭乗一番乗りである。
改札機からいつもと違うメロディーが流れる。すると係員が用意されていた別の搭乗券を差し出し、都合によりアップグレードさせて頂いたとのこと。
変更後の席番は”4F”。前から4列目とは、もしかしたらビジネスクラスか?と色めきだった。
足取り軽く搭乗橋を渡り機内へ。
結果は残念ながらエコノミーのままであった。アップグレードの説明は何だったのだろうか。
シート
機種はボーイング737-800。機体記号はB-1936で、経年6年弱のやや古い機体。
エコノミーのシートは737標準の3-3横6列で、シートピッチはやや広め。3時間程度のフライトなら十分快適だ。
個人モニターは装備されていない。モバイル電源コンセントも探してみたが見つからなかった。機内Wi-Fiも使えない。この点はマイナスポイント。
ただ、ゴールドメンバーとしてのおもてなしであろうか、シートポケットにはミネラルウォーターと、雑誌「人民中国」日本語版、英字新聞が入っている。更に、客室乗務員がわざわざあいさつに来てくれた。離陸が少し遅れるとのこと。
続々と乗客が搭乗してくる。見た限りでは9割以上が中国人の模様。
エコノミーはほぼ満席になった。名古屋-無錫というマイナーな路線も盛況だ。
よく見ると、アサインされた席を含む前方4列分の区画は、後方席とはカーテンで区切られており、この区画のみ3列席を2名で使っている。もしかしたらここは”プレミアムエコノミークラス”として運用しているのかもしれない。そうすればゲートでの説明に合点がいく。
出発
出発前に安全ビデオが放映される。機内アナウンスは中国語と英語だが、基本的な自動放送では日本語も流れる。
17:54、24分遅れて出発。18:12、滑走路南側(RWY36)から離陸。滑走路端で一旦停止するスタンディングテイクオフだ。
機内サービス
18:27、ベルト着用サイン消灯。すぐに機内食の準備が始まる。
天井からモニターが出てきて映画の放映が始まる。音声はイヤホンではなく、なんとスピーカーから音が出る。見たくもない映画を半強制的に見させられる形だ。
18:40頃から機内食配布開始。トレイに乗せずにホットミールと紙箱が配られる。ホットミールはうま煮とチンジャオロースに白飯が挟まれている。箱の中身は四川省内江威宝食品謹製の大根漬物「周萝卜」と、パンケーキなどの菓子類。
無錫のケータリングだと思われるが味はまあまあ。前菜やフルーツなど気の利いたものは無いが、短距離の中国路線としては上等である。
この箱は上部にミシン目が入っており、切り離すと絵葉書になる。記念になるので持ち帰ることにする。
食後にホットドリンクのサービスがある。コーヒーを頂くが、ミルクと大量の砂糖が入ったインスタントコーヒーであった。
到着
機体は大きく揺れることなく順調に飛行する。中国時間の19:20頃から着陸に向け降下開始。
20:05、滑走路南側(RWY03)に着陸。小さな空港なので地上移動は短く、3分後の20:08に03スポットに到着した。定刻より28分の遅延。
03スポットは国内線用なのか、降機は搭乗橋ではなくタラップ式。バスが2台待っていたが、ビジネス客が乗るVIP車に案内してもらえた。
バスはわずか1分ほどで国際線到着口に着く。入国審査、荷物引き取りともスムーズに進み、15分後には到着ロビーに出ることができた。
無錫空港からのアクセス情報
無錫の蘇南碩放国際空港は、無錫市街中心部の南東約15kmに位置している。2019年12月現在、地下鉄は未開通であるので公共交通によるアクセスはバスかタクシーしかない。
無錫駅および近隣各地に向かうバスは、国内線ターミナルの前から発車する。「机场巴士」と書かれた案内サインに従い、国際線ターミナルを出て右手に進む。なお、一旦2階の出発階に上がり、国内線ターミナルへの連絡通路を通っていくことも可能。寒い日や暑い日はこちらの方が楽かもしれない。
2~3分ほど歩くと、バス乗り場に到着する。無錫駅に向かう「機場専線」は6番乗り場から出発。運行時間は7:00から翌0:30まで、おおよそ40~60分間隔の発車で所要時間は45分。
運賃は5元で車内の運賃箱に投入する。おつりは期待できないので、細かいお金が無い場合は、一旦国内線ターミナルに入り、コンビニなどで崩した方が良い。
なお、無錫駅以外の近隣都市に向かうバスは、国内線ターミナル1階のバス切符売り場または券売機で乗車券を購入する。
(空港と無錫駅を結ぶ「機場専線」に乗車した時の様子は、後日別の記事で詳しく紹介します。)
感想
深圳航空の搭乗は今回が初であった。同社は以前遅延の酷さで話題になったことがあったが、最近は改善されてきていると思われる。
今回搭乗したZH8060便、11/1運航開始からのデータを「Flightradar24」で調べてみると、本記事執筆時点までの72日間で15分以上の遅延発生は僅か4回のみと、なかなか安定した運航状況であるといえる。なお、1日のみ欠航が発生しているが、これは悪天候による影響と思われる。
機内食の水準も中国キャリアにしてはまずまずであるが、機内設備についてはやや不満が残る。個人モニターが無いのは仕方がないとして、やはり映画の音声をスピーカーで流すのはやめて欲しい。どちらかというと中国は騒音に対して無頓着な傾向があったが、今は時代が変わった。
機内にあった雑誌「人民中国」には、日中関係が改善の兆しにある中、中国キャリアの日本へのフライトが大幅に増加し、今冬のダイヤでは週1130往復を超え過去最高となったとの記事があった。今はビジネス客と訪日中国人観光客がメインであろうが、今後は日本人の観光での訪中も増えていくと思われる。同社の更なる展開に期待したい。
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